3月11日(現地時間)、フランスのラグジュアリーブランド「ニナ リッチ(Nina Ricci)」は、クリエイティブ・ディレクターを務めてきたハリス・リード(Harris Reed)が退任することを発表した。リードは約3年半にわたり同メゾンのクリエイティブを率いてきた人物であり、今後は自身の名を冠したブランドに注力するという。後任については現時点で発表されていない。
退任のニュースはリード自身がInstagramで公表したものでもある。声明の中でリードは次のように語った。
「ニナ リッチのクリエイティブを率いた3年半という素晴らしい時間を経て、今こそ別れを告げ、自身の名を冠したブランドに全力を注ぐ時が来たと感じています。ニナ リッチを去るにあたり、私の心は感謝の気持ちで満ちており、ここでの時間が私にもたらしてくれたすべてに深い敬意を抱いています。プイグ、そしてニナ リッチのチーム全員に心から感謝します。私の想像力を歓迎するだけでなく、積極的に後押ししてくれた歴史あるメゾンに迎え入れてもらえたことは、言葉では言い表せないほどの名誉でした。」
「パリのチームへ。どんなアイデアにもオープンな姿勢と寛大さ、そして勇気を持って向き合ってくれてありがとう。あなたたちはためらうことなく可能性を受け入れてくれ、その姿勢から私は言葉では言い尽くせないほど多くを学びました。私たちが共に過ごしたすべての瞬間は、これからもずっと私の中に残り続けます。愛しています。」
最年少クリエイティブ・ディレクターとして就任
リードは2022年、スペインのラグジュアリーグループ、プイグ(Puig)傘下のニナ リッチのクリエイティブ・ディレクターに就任。当時26歳であり、同メゾンの歴史の中でも最年少のデザイナーとしてクリエイティブを率いる存在となった。
ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)を卒業して間もないタイミングでの抜擢であり、ブランドのアーカイブとクラフツマンシップに新たな視点をもたらす役割を担っていた。
就任後の初コレクションとなった2023年秋冬シーズンでは、多様なモデルを起用することでファッションウィークの慣習に一石を投じ、ブランドに包摂性という新しい視点を提示。パフスリーブやポルカドットの立体的なシルエット、シャープなテーラリングなど、色彩と造形が際立つコレクションを展開した。
最後のショーは2026年秋冬コレクション
リードにとって最後のショーとなったのは、2026年3月6日にパリ ファッションウィークで発表された2026年秋冬コレクションである。
同コレクションは、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催された「Marie Antoinette Style」展から着想を得たもの。ジャカードのパンツスーツ、クリノリン・スカート、コルセットなど歴史的要素を取り入れつつ、Tシャツやトラックスーツと組み合わせることで現代的なスタイリングへと昇華した内容だった。
在任期間中、リードは彫刻的なシルエットや華やかなイブニングウェアを通じてブランドのフェミニニティを再解釈。プラスサイズモデルの起用などを通じて、より包括的な美の表現を提示してきた。
また、ブランドの新たなフレグランス「ヴェニュス(Venus)」のローンチにも携わり、ファッションだけでなくビューティ領域にも影響を与えた存在である。
ブランドの次章へ
ニナ リッチのプレジデントであるアナ・トリアス(Ana Trias)は声明の中で次のようにコメントしている。
「ニナ リッチおよびプイグのすべてのチームを代表して、ハリス・リードに心から感謝を伝えたいと思います。彼は就任以来、ブランドに新鮮な風をもたらし、インスピレーションに満ちた包摂的な視点と卓越した創造性を示してくれました。ハリスはニナ リッチの歴史に美しい一章を書き加えてくれました。」
1932年創業のニナ リッチはフレグランスで広く知られるメゾンである一方、ファッション部門では近年クリエイティブ・ディレクターの交代が続いてきたブランドでもある。メゾンは現在、長期戦略に沿った次の章の定義に取り組んでおり、新体制については今後発表される予定だ。
一方、リードは今後、自身のブランドの発展に注力する見通しである。2020年にセントラル・セント・マーチンズを卒業した後、ジェンダーフルイドなデザインと演劇的なボリューム感を特徴とするスタイルで注目を集め、ロンドン ファッションウィークの常連ブランドとしても存在感を高めてきた。
リードは自身の投稿で次のようにも語っている。
「私が初めてニナ リッチに来たとき、私は26歳で、まだ卒業して間もなく、独身で、自分の立ち位置を模索しながら、型破りな声を持つデザイナーとして自信を持って立つ方法を学んでいる最中でした。」
さらに、今後について次のように述べている。
「そして今、私は多くを学び、成長した状態でこの場所を離れます。愛する夫、そして犬とともに、愛する家で新しい人生の章へ進み、自分の会社を次のステージへ導くことにとてもワクワクしています。」
今後、彼のキャリアが自身のブランドを中心にどのような展開を見せていくのか、業界の注目が集まるところである。
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