3月19日(現地時間)、トレンド予測機関の「WGSN」と、カラー専門企業の「カラロ(Coloro)」は、2028年のカラー・オブ・ザ・イヤーとして「レディアント・アース(Radiant Earth)」を発表した。錆びた赤やクレイを思わせる温かみのある色調は、近年のクールトーン中心の流れからの明確な転換を示すと同時に、社会全体の価値観の変化を映し出すものとして注目を集めている。
「生き延びる」から「より良く生きる」へ
近年の世界的な混乱や不確実性を経て、消費者の意識には変化が生まれつつある。「サバイバル」から「レジリエンスと繁栄」へ。そうした感情的なシフトを体現するカラーとして選ばれたのが、レディアント・アースだ。
WGSNのシニア・カラーフォーキャスター、ステファニー・バーンシャー(Stephanie Barnscher)はこう語る。
「しばしば混沌と感じられる現代において、レジリエンスや繁栄といった感情へのシフトが見られます。Radiant Earthはこうした感情的なマインドセットを的確に支え、深い信頼を育む、地に足のついた信頼性の高いニュートラルカラーを提供します。この色はブランドにとって、安心感のあるノスタルジーと未来志向の自信の双方を備えたプロダクトや空間を生み出すことを可能にします。」
“残光”から生まれた、素材を選ばない柔軟さ
レディアント・アースのデザイン的な起点となっているのは、「アフターグロウ(残光)」という概念だ。陽が沈んだあとに空に残る温かな余韻。そのイメージが、このカラーの本質を形づくっている。
セラミックやオーガニックテキスタイルといった自然素材との相性は特に高いが、ハイテク素材や工業的な表面に対しても温もりを与えることができる。マット、グロス、イリディセントといった多様な仕上げにも対応することから、ファッションからインテリア、プロダクトデザインまで、幅広い分野での展開が期待されている。

これまでWGSNが選んできたカラーは、「ルミナス・ブルー(Luminous Blue)」や「トランスフォーマティブ・ティール(Transformative Teal)」に象徴されるクールで内省的なトーンが中心だった。今回のレディアント・アースはそこからの明確な転換であり、より感情的で、実体感のある色への移行を示している。
同時に、他のカラー機関による提案とも対照的な動きが見られる。例えば、パントン(Pantone)が提示した「クラウド・ダンサー(Cloud Dancer)」のようなミニマルで抽象的なホワイトとは異なり、レディアント・アースはより感情的で実体感のある色として機能する。両者は方向性こそ異なるものの、「新たな始まり」や「安定」を志向するという点では共通している。
“背景”でなく”主役”になるニュートラル
レディアント・アースは、従来のニュートラルカラーの概念を更新する存在でもある。背景に溶け込むのではなく、空間やプロダクトの印象を決定づける「主張するニュートラル」として提案されているのだ。
変化の激しい時代において、確かな基盤となる色への需要は今後さらに高まると見られる。レディアント・アースは、過去の記憶と現在の感情、そして未来への志向をつなぐカラーとして、2028年に向けた新たなスタンダードとなる可能性を秘めている。
Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.