H&M、2025年サステナビリティレポートを発表:温室効果ガス排出量を34.6%削減、素材の91%が持続可能に

H&M

3月26日(現地時間)、スウェーデン発のファッション企業「H&M グループ(H&M Group)」は、2025年の年次報告書およびサステナビリティレポートを発表した。

同レポートによると、同社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope3)は、2019年比で34.6%削減された。さらに、自社運営に関わるScope1およびScope2の排出量も同期間比で41%削減されており、脱炭素に向けた取り組みは複数の領域で進展している。

温室効果ガスの排出量は、発生源の違いによってScope1・Scope2・Scope3の3つに分類される。Scope1は企業が自ら直接排出するCO₂、Scope2は購入した電力などに由来する間接排出を指す。一方でScope3は、原材料の調達から製造、輸送、販売、さらには消費者による使用や廃棄に至るまで、バリューチェーン全体に関わる排出を含む概念である。特にファッション業界では、このScope3が排出量の大部分を占めるとされ、ブランドが直接管理できない領域であることから、削減の難易度が最も高いとされている。

また、商品に使用される素材のうち、91%がリサイクル素材または持続可能な方法で調達されたものであることが明らかになった。特にリサイクル素材の比率は32%に達しており、2025年の目標(30%)を上回る結果となった。

同社は、2030年までにこれらの素材比率を100%へと引き上げる方針を掲げている。

ビジネス成長と環境負荷低減の両立

CEOのダニエル・エルヴェール(Daniel Ervér)は、レポート内で「私たちは提供価値を強化し、成長・収益性・排出削減が両立し得ることを示しています」とコメント。

同社は、サステナビリティを単なるCSR活動としてではなく、事業戦略の中核に統合することで、成長と環境負荷低減の両立を図っている。実際に、2025年には脱炭素および素材イノベーションに対して28億スウェーデンクローナを投資しており、サプライチェーン全体における構造的な変革を進めている。

さらに、水資源の使用削減にも進展が見られ、衣料品サプライヤーにおける湿式加工工程での淡水使用量は、2022年比で22.8%削減された。

これらの取り組みは、大規模投資のみならず、サプライチェーンの効率化や生産プロセスの改善といった、構造的なアプローチによって支えられている。

売上は微減、構造転換の過渡期

一方で、2025年の売上高は2,280億スウェーデンクローナ(約242億ドル)となり、前年から3%減少した。店舗数の最適化や市場環境の変化が影響したとみられる。

現地通貨ベースでは売上は増加し、収益性やオペレーション効率も改善している。これは単なる縮小ではなく、構造転換の過程を示すものだ。

H&M グループは創業以来、「手の届く価格でファッションを提供する」という理念を掲げてきた。現在はそこにサステナビリティを不可欠な要素として統合し、素材調達、サプライチェーン、顧客体験を横断した変革を進めている。

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