4月2日(現地時間)、パリ発のメゾン「カルヴェン(Carven)」のデザインディレクターを務めていたマーク・トーマス(Mark Thomas)が、就任から約1年でブランドを離れることが明らかになった。退任は今月末をもって実施され、本人は「新たな機会を追求するため」とされている。
同ブランドは声明の中で、トーマスの貢献について、「彼のビジョンとデザインは、ブランドのアイデンティティとスタイルの確立に寄与し、カルヴェンを再びファッションの舞台へと確固たる存在として押し上げた」と評価した。また、「カルヴェンは、マークの今後のキャリアにおける成功を心より願っている」とコメントしている。
現時点で後任や今後のクリエイティブ体制については明らかにされておらず、「ブランドの今後の展開については、適切な時期に発表する」としている。なお、次回のパリでのショーは2027年春夏コレクションとして、年内に発表される予定である。
今回の退任は、ルイーズ・トロッター(Louise Trotter)がボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)へ移籍した後の後任としてトーマスが就任し、ブランド再構築を進めてきた流れの中での転機といえる。関係者によれば、彼の就任以降、カルヴェンの売上は顕著な成長を見せていたとされる。
トーマスは声明の中で次のように述べている。
「この数年間にわたり共に働くことができたすべての方々に、心より感謝申し上げます。この美しいメゾンの新たな章を共に築くことができたことを、大変光栄に思います。
また、この機会を与えてくださったショーナ・タオ(Shawna Tao)氏およびイェ氏(Mr. Ye)に深く感謝いたします。そして、1945年にこのメゾンを創設したマダム・カルヴェン(Madame Carven)に最大の敬意を表します。これから新たな挑戦へと歩みを進めるにあたり、ブランドのさらなる成功と明るい未来を心より願っています。」
なお、ここ数カ月において、欧州ラグジュアリーブランドではクリエイティブ・ディレクターの交代が連続している。
エトロ(Etro)ではマルコ・デ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)がブランド再構築のフェーズを経て退任したが、後任については現時点で正式発表はされていない。ニナ リッチ(Nina Ricci)ではハリス・リード(Harris Reed)が短期間での離脱を決断し、自身のブランド活動へと軸足を移したが、こちらも後任は未定の状況だ。
また、クレージュ(Courrèges)においては、ニコラス・ディ・フェリーチェ(Nicolas Di Felice)が約5年にわたり築いてきたブランド再生の成果を一つの区切りとして退任し、後任にはドリュー・ヘンリー(Drew Henry)の就任が発表されている。アライア(Alaïa)では、ピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)が創業者亡き後のブランドの再定義を担ったのち退任し、現時点で後任は公表されていない。
この一連の動きに共通するのは、「ブランド再建フェーズを終えた後のタイミングで、クリエイティブの刷新が行われている」という構造である。近年、多くのメゾンがヘリテージの再解釈を軸にブランド価値の再構築を進めてきたが、その第一段階が一定の成果を見せた今、次に求められているのは“商業的拡張”と“グローバル市場への最適化”である。
その結果、初期フェーズを担ったデザイナーから、よりビジネス視点やスケール戦略に適応できる新たなクリエイティブ人材へのバトンタッチが進んでいると見ることができる。また、デザイナー個人にとっても、短期間でブランドの方向性を確立した後に次の挑戦へと移る動きが一般化しており、クリエイティブ・ディレクターの在任期間は年々短期化している傾向にある。
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