4月2日(現地時間)、フランスのラグジュアリーメゾン、エルメス(Hermès)は、中国・北京の三里屯エリアに新店舗をオープンした。1997年の進出以来、同市における4店舗目となる本拠点であり、ブランドの16のメティエを体感できる没入型の空間として設計されている。
同店舗は、5階建ての独立構造を持つガラス建築で構成。外観はローズおよびテラコッタカラーのセラミックタイルで覆われ、パリの建築設計事務所RDAIとマモウ=マニ・アーキテクツ(Mamou-Mani Architects)の協働によって手がけられた。
ファサードは半透明のヴェール状の構造を採用し、リズミカルな配置によって光の透過と遮蔽のバランスを調整。自然光を柔らかく内部へ取り込む構成となっている。建築全体は、近隣の紫禁城の意匠から着想を得ており、曲線的な屋根や温かみのある色彩、素材の豊かさを現代的に再解釈した空間となっている。
空間体験としてのリテール設計
店内の中心には、石材で構成された螺旋階段が配置されている。そのフォルムは外観のアーチ構造と呼応し、来場者の動線を自然に上階へと導く。
1階では、シューズとシルクを中心に展開し、奥にはフレグランスとビューティのエリアが広がる。2階ではシルク、乗馬、アクセサリーを組み合わせた構成とし、フォーブル柄に着想を得たモザイク床が視覚的なアクセントとなっている。
さらに上階では、メンズおよびウィメンズのプレタポルテ、フィッティングサロン、プライベートサロンが配置される。3階ではホームコレクション、レザーグッズ、時計、ジュエリーが展開され、寄木細工や漆壁、レンガ構造といった異素材の融合によって空間に奥行きを与えている。最上階には、テラスに面したプライベートサロンが設けられている。
アートと職人技の融合
店舗内には、現代アートとエルメスのコレクションが共存する展示が施されている。エミール・エルメス・コレクションや写真作品に加え、中国人アーティストのリウ・ジェンファ(Liu Jianhua)による特注インスタレーションが設置された。
この作品は、手作業で制作されたセラミックの花弁と大理石のメダリオンで構成され、階段上部に浮遊するように配置されている。動きのあるフォルムは、しなやかな鞭の軌跡を想起させる造形となっている。
限定コレクションも発売
今回のオープンに合わせ、中国人アーティストのトン・レン(Tong Ren)によるモチーフ「Parade en Fanfare」を採用した限定アイテムも展開される。ラインナップには、テーブルサッカー、トラベルバッグ、時計、シルク、レザーグッズなどが含まれ、ローカル文化とメゾンのクリエイションを繋ぐものとなっている。
グローバル戦略における中国市場の重要性
今回の北京新店舗は、単なるリテール拠点の拡張ではなく、文化的文脈を取り入れた体験型空間としての位置付けが強い。中国市場におけるラグジュアリーブランドの競争が激化する中で、ブランドの世界観をいかに空間として提示できるかが、差別化の鍵となっている。
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