1月22日(現地時間)、アミリ(Amiri)はパリ ファッションウィークにて、2026年秋冬 メンズ&ウィメンズウェアコレクションを発表した。今季のアミリは、ブランドの核となるロサンゼルス、そして音楽文化との深い結びつきを軸に、日常とフォーマル、オンステージとオフステージの境界を曖昧にするワードローブが提示している。
創設者でありクリエイティブ・ディレクターのマイク・アミリ(Mike Amiri)は、コレクションについて、次のように語っている。
「私にとってメンズのフォーマルウェアが最も魅力的に感じられるのは、自然体で個性が感じられるときです。ヘンリーネックの上にブレザーを羽織り、ドレスシューズの代わりにブーツを履いたりと、アーティストがテーラリングをカジュアルに着こなす姿に惹かれます。」
さらに、「洋服が“その人自身の延長”であるように感じられること。そのバランスこそがアミリの理想なのです。ステージ上にも通用し、同時にそのままの日常へと溶け込めるもの。衣装や演出のように見られてはいけません。装飾とは、付け足すことではなく句読点のようなものです。考え抜かれたディテールと調和、そして真正性に裏付けられたものなのです。近づけば近づくほど、その職人技が浮かび上がります」と続けている。
ローレル・キャニオンという精神的風景
今季のインスピレーションとなったのは、ハリウッド・ヒルズに位置するローレル・キャニオンである。黄金期ハリウッドの映画人が暮らし、1970年代以降はカウンターカルチャーや音楽、創造性の拠点として都市文化に深く根付いてきた場所だ。
その土地が持つ1970年代の思想や空気感は、現代の価値観によって再解釈され、多様性や個性、包括性を前提としたコレクションへと昇華されている。ジェンダーの枠を越えて自然に共有されるワードローブが、今季のアミリの重要な軸となっている。
テーラリングの再定義と「生きた日常」
コレクションの中心あるのは、気取らない自由さを備えたメンズのフォーマルウェアだ。アーティストのハイブリッドなワードローブに着想を得たテーラリングは、昼はドレスアップとして、夜はデニムと合わせるといった柔軟な着こなしを前提に設計されている。
それは単なるカジュアル化ではなく、日常のなかにささやかな「特別な瞬間」をもたらすための提案である。洋服は装いとして完結するのではなく、着る人のパーソナリティを想起させる存在として機能する。
実際のルックでは、ベルベットのフロッキー加工を施したデニム、刺繍をあしらったニットやカーディガン、細身のジーンズと組み合わされた象徴的なテーラリングが登場する。刺繍は装飾過多になることなく、あくまで句読点のように配置され、全体のリズムとバランスを整えている。
ボーイフレンドスーツを女性が纏い、繊細な刺繍ニットが女性のワードローブから男性へと行き交う構図も印象的だ。そこにあるのは演出的なスタイリングではなく、「生きている日常」の延長線にあるリアリティと捉えられる。





ノスタルジアと現実感覚の交差
ローレル・キャニオンとパリを精神的に結ぶような、クラフトと創造性の対話も今季の重要な要素だ。その結果として描かれたカラーパレットは、深いメルローやバーガンディ、セージ、ミントグリーン、鮮やかなブルーといった、ノスタルジアを帯びた色彩で構成されている。
オンステージでもオフステージでも成立する軽やかさとエレガンス。その二面性が、2026年秋冬シーズンのアミリのムードを端的に表している。



アミリ言語の洗練と進化
さらに今季は、アミリの美学を支える主要アイテムも改めて研ぎ澄まされた。シルエットはカッティングによって明確に保たれ、メゾンのシグネチャーであるハンドバッグ「ハニー」や「イースト・ウェスト・ポシェット・クラッチ」も再解釈されている。
アイウェアの提案はさらに広がり、アミリを象徴するウエスタンブーツも再構築され、現代的なバランスへとアップデートされた。すべての縫い目は装飾であると同時に、シルエットを定義する機能的な要素として存在している。


親密さとしてのショー空間
ショー空間そのものも、今季のメッセージを雄弁に物語っていた。使い込まれ、愛されてきた家具やオブジェが配された空間は、理想化されたローレル・キャニオンの邸宅にあるラグジュアリーな隠れ家を想起させる。
それはランウェイショーという幻想ではなく、「生きること」の反響であり、現代の男性と女性の実像を映し出す場である。アミリが提示するのは、演出された世界観ではなく、現実と感情に根差したアメリカン・ラグジュアリーの現在地なのだ。
アミリ 2026年秋冬 メンズ&ウィメンズウェアコレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。
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