美容ブランドの「キキ ワールド(KIKI World)」、エスティ ローダー社などから700万ドルの資金調達

ロサンゼルスを拠点とし、テンポラリー・ヘアペイントやリキッド・メイクアップ・ペンなどの美容製品を販売する「キキ ワールド(KIKI World)」は、このほど、エスティローダー社の投資部門「ニュー・インキュベーション・ベンチャーズ(New Incubation Ventures=以下、NIV)」や「A16z Crypto」などの投資家から700万ドルの資金調達を行なった。

同社への他の投資家には、コンシューマー・テック・ファンドのDouble Down、2Punks Capital、Advancit、デジタル・コミュニティのRedDaoとOrangeDao、デジタル・クリエーターのGMoneyが含まれる。なお、a16z cryptoからの投資は、KIKIの2023年春の「クリプト・スタートアップ・アクセラレーター(Crypto Startup Accelerator)」プログラムへの参加に続くものであり、NIVは2022年11月、KIKIの立ち上げ前のコンセプト段階で既に投資している。

Courtesy of KIKI World

「Web 3.0 x コミュニティ」の新しい小売形態

キキ ワールドは2023年に立ち上げられた美容のコミュニティ・コマース・カンパニーだ。同プラットフォームはブロックチェーン・プラットフォームを通じて、12,000人以上のメンバーからなるオンライン・コミュニティを抱えており、そこにいるメンバー達が本当に欲しい美容製品を「共創」している。このプラットフォームは、従来のウェブ2チャンネルやソーシャルメディアの枠を超えて、消費者同士やブランドとつながることが出来る新しい方法なのだ。キキ ワールドの消費者は、製品を共同開発出来る他、エンゲージメントに対する報酬を受け取ったり、製品イノベーションに参加したり、他のファンとつながったりすることも出来る。

2023年5月以降、キキ ワールドは、顧客が主要成分や発売順を投票できるスキンケア・ライン「スキンデベロップメント・キット」や、消費者が次の色を選べるNFCタグ対応ネイルペン「プリティ・ネイル・グラフィティ」など、5つの革新的な物理的製品コレクションを発売した。このように同プラットフォームを利用するコミュニティによって製品や体験が創造されることで、消費者に報酬が共有されることを目指している。

コミュニティメンバーとブランドが共創した美容プロダクト/ Courtesy of KIKI World

キキ ワールドの共同設立者であるヤナ・ボボシコワ(Jana Bobosikova)、ブレンドン・ガーナー(Brendon Garner)、リッキー・チャン(Ricky Chan)は、次のように語る。

「KIKIの革新的なプラットフォームは、戦略的にbrand.comの機能をさらに一歩進め、コミュニティを活用し、トレンドが急速に台頭する中で創造性を促進します。KIKIは、インターネットとインターネットがつなぐコミュニティが、次世代を定義するブランドや製品を単に消費するだけでなく、創造するエンジンであると考え、この高度な顧客体験を実現するツールを構築しています。」

エスティ ローダー社のNIV担当シニア・バイスプレジデントであるシャナ・ランダヴァ(Shana Randhava)は、「エスティ ローダー・カンパニーズでは、消費者を中心に事業を展開しています。だからこそ、お客様を第一に考える新しい方法を見出そうとするKIKIチームのビジョンに興奮しているのです。カスタムメイドのプラットフォームを持つKIKIブランドは、ウェブ3技術の最先端を活用し、消費者がブランドと共創し、新しく適切な方法でエンゲージする方法の未来を再考しています。この新しい消費者中心のモデルの探求は、弊社に美容の未来への貴重な窓を提供します」とコメントした。

ニューヨークで増加するコミュニティ・コマース

一方で、キキ ワールドのように、従来のユーザー・テストよりも目に見える実質的な方法で、製品開発段階に顧客を参加させる「共創」は、消費者とのつながりを求めるブランドの間で増加傾向にある。

ニューヨーク発のスキンケア・ブランド、ビューティスタット(BeautyStat)は、製品開発に関するディスカッションにソーシャルメディア上のトップ・ファンを巻き込んでいる。また、同じくニューヨークを拠点とするバブル・スキンケア(Bubble Skincare)は、大勢のブランド・アンバサダーとともに製品テスト・プログラムを運営している。

資金調達に成功したキキ ワールドの今後の計画

2024年4月より、キキ ワールドは新しいプラットフォーム・ツールとアプリケーションのリリースを開始する。これらのツールは、製品ラインの開発にも貢献するだけではなく、クリエイター、ブランド、ファンがコミュニティを通じて繋がることで、魅力的なキャンペーンを促進させる。

また、ピアツーピアの繋がりやダイナミックな報酬を可能にするブロックチェーンを活用したプロフィールやコレクターズアイテムから、ファンへの報酬を第一に設計された堅牢なディスカバリーエンジンやコミュニティ管理ツール、インセンティブ主導のエンゲージメントキャンペーンやコンバージョンに焦点を当てた報酬の作成を可能にするプラットフォームAPIまで、キキ ワールドはあらゆる可能性を開いていく。

今回の出資を受け、同社はオンチェーン、オンライン、リアルワールドのエコシステム全体で根本的に新しい企業形態を構築し、ユーザー中心のデータ所有権、参加報酬、次世代のクリエイターと顧客のためのイノベーション・カンパニーとして躍進していくことが期待される。

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