バーバリー(Burberry)、通期売上高の減少を予想|高級品需要の低迷で売上高に打撃

11月16日(現地時間)、世界的に高級品への需要が低迷していることから、バーバリー(Burberry)は通期の売上高ガイダンスを達成は困難である可能性を示唆した。調整後の営業利益は、現在のコンセンサス・レンジである5億5,200万ポンドから6億6,800万ポンドの下限になる見込み。これによって、同社の株価は取引開始直後に10%近く下落した。

バーバリーの第2四半期の既存店売上高はわずか1%増、上半期の小売既存店売上高は10%増だった。

バーバリーのジョナサン・アケロイド(Jonathan Akeroyd)最高経営責任者は声明で、「マクロ経済環境はこのところ厳しさを増していますが、私たちは現代の英国ラグジュアリーブランドとしてのポテンシャルを実現するための戦略に自信を持っており、中長期的な目標達成に向けて引き続き全力を尽くしていきます。」と述べた。

同社によると、アジア太平洋地域の上半期の売上高は18%増加したが、第2四半期は2%に鈍化した。特に中国と韓国での売り上げが減ったことで全体の成長率に影響が出ており、中国本土では、既存店売上高は上半期で15%増加したが、第2四半期は8%減少。韓国は上半期で1%減、第2四半期は7%減。

一方、日本では観光客が牽引したことで、既存店売上高が上半期で43%増、第2四半期で41%増。南アジア太平洋地域の既存店売上高は上半期で30%増、第2四半期で22%増となった。EMEIA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)の上半期の既存店売上高は14%増、第2四半期の売上高は10%増となったが、これは観光客が半期で39%増加したことが寄与した。

同社は、ヨーロッパ大陸は上半期で地域平均を上回ったが、英国は引き続き遅れたと付け加えた。米州は上半期で9%減、第2四半期は10%減という結果となった。

バーバリーの上半期を振り返る

バーバリーは、2023年秋冬シーズンから新クリエイティブ・ディレクターにダニエル・リー(Daniel Lee)を迎え、ブランドイメージと商品ラインナップを一新した。

アケロイドは、商業的な業績について詳しくコメントするのは時期尚早だとしながらも、「9月にはダニエル・リーが初めてデザインした23年冬コレクションを発表し、新たなクリエイティブ・ビジョンに向けた機運を高め続けました。」とコメントし、新生した同ブランドのイメージに対する消費者の反応は上々だと述べた。

同ブランドのシグネチャーであるトレンチコートを含むアウターウェアの既存店売上高は、上半期は21%増、第2四半期は10%増という結果に。やはり、アイコニックなバーバリーチェックのヘリテージ・レインウェアが主力商品となり、メンズ、レディスの売り上げを牽引した。レザーグッズの既存店売上高は、上半期は8%増、第2四半期は3%増となり、ヴィンテージチェックなどのアイコンバッグや、ナイトバッグ、トレンチトートなど23年冬に発表した新形状が人気を集めた。プレタポルテでは、メンズが6%増、ウィメンズが7%増となり、上半期は6%増だった。

また同社は、流通への投資を継続し、ロンドンのニューボンドストリート、ロサンゼルスのロデオドライブ、東京の表参道など、上半期中に33店舗のオープンまたは改装を実施。今年度末までにネットワークの50%以上を完成させる予定である。

ラグジュアリー業界では、パンデミック後の好況の後、高級品購入者の需要減退に直面している。現にラグジュアリーの巨大コングロマリットのLVMH、ケリング(Kering)、リシュモン(Richemont )でも、直近の四半期の成長率に、急激な鈍化が見られている。