4月29日(現地時間)、シャネル(Chanel)は、イタリアのコモ湖畔に位置する名門ホテル「ヴィラ・デステ」にて、2026年クルーズコレクションを発表した。今回のショーは、前任のヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)の退任を経て、新アーティスティックディレクター、マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)の本格始動を控えた間奏曲のような位置づけであり、同時に、メゾンが長年にわたって育んできたイタリアの職人技との絆を改めて称える舞台でもあった。
映画のようなヴィラ・デステの空間には、ルピタ・ニョンゴ(Lupita Nyong’o)、キーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)、ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)、マーガレット・クアリー(Margaret Qualley)、小松菜奈(Nana Komatsu)ら、メゾンのアンバサダーや親交の深いゲストが来場。湖畔のテラスには、洗練された屋外カフェのようなセッティングが用意され、クラシックなイタリア音楽とともにショーが進行した。
このショー冒頭を飾った5つのホワイトルックは、洗練と軽やかさが共鳴し合う、夏のエレガンスの序章だ。ツイードのコートドレスやショートジャケット付きのミニドレス、繊細な刺繍と多層フリルを纏ったルックが、湖畔の陽光を受けて優雅に揺れる。また、リラクシングなニットセットアップやカメリアを飾ったフレアスカートの装いが、リゾート地の自由な空気を映し出した。



続けて、ストライプドレスやツイード、繊細なフリルや刺繍を施したパステルカラーのドレスなどが登場し、リゾートにふさわしい優雅さと軽やかさを演出。また、クロケ素材のマットゴールドのセットアップや、ピンクとオレンジのストライプ柄のバックレスジャンプスーツなど、インパクトのあるルックも登場した。
同コレクションは、シャネルが長年にわたり築いてきたイタリアのクラフツマンシップとの深い関係を象徴しており、特にコモ湖周辺に拠点を置く名門工房との連携によって実現されている。上質なレザーと精巧なカッティングで知られる老舗靴工房「ロヴェダ(Roveda)」は、ジュエル装飾が施されたストラップサンダルや、上品でリラックス感のあるミュールにその卓越した技術を反映。一方、1902年創業のシルク専門工房「マンテロ(Mantero)」は、独自の染色技術としなやかな素材使いで、ドレープの美しいブラウスや、ラメ入りのドレス、スカーフに豊かな陰影と柔らかな表情をもたらした。









さらにアクセサリーにも、メゾンならではの創造性が光る。スタイリングには、編み込みのトートバッグや、宝石のように煌めくミノディエール、鮮やかなカラーのチャーミングなミュールなど、ディテールにまでこだわり抜かれたアイテムが、遊び心と洗練さの絶妙なバランスで共存する。シルクスカーフもアクセントとして多用され、髪に巻かれたり、足首や手首にリボンのように結ばれたり、バッグのハンドルに添えられるなど、自由でエスプリの効いた演出がなされた。
ショーのフィナーレには、黒のタフタドレスと、リキッドサテンの煌めきを宿すイブニングドレスが披露され、音楽とともに美しい余韻を残して幕を閉じた。






夕暮れの光に照らされるコモ湖。その黄金色の景色の中で立ち上がったのは、伝統と革新、クラフトとモード、過去と未来が優雅に交差する、シャネルならではの“時の美学”である。
そこには、変わることのないシルエットと、進化を止めない精神が共存していた。
シャネル 2026年クルーズコレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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