9月15日(現地時間)、コーチ(COACH)は、ニューヨーク ファッションウィークで、2026年春夏コレクションを発表した。会場となったピア36は、ニューヨークの街並みを描いたセピア色の背景に囲まれ、モデルたちがあたかも都会を行き交う人々のようにランウェイを歩く。クリエイティブディレクターのスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)が長年探求してきた“アメリカン・スタイル”の進化形が提示された瞬間だった。
都市のグリットと詩的なムードの融合
今季のテーマは「都会の逞しさと儚さの同居」。フロントロウにはアヴァンティカ(Avantika)、エル・ファニング(Elle Fanning)、チャールズ・メルトン(Charles Melton)らが並び、コレクションが世代やカルチャーを超えて共鳴することを物語る。
「スプリング コレクションでは、ニューヨークらしい感覚である“輝き”と“荒々しさ”の絶妙なバランスを意識しました。ここでいう“荒々しさ”とは街の回復力。毎朝、街が新たに息を吹き返す、その美しさです」とヴィヴァースはショーノートで語る。
「ビルの壁やガラスが朝の光に照らされて輝き、時間の経過とともに風合いが増していく。そんな都市の生命力を表現しました。」
無垢と反逆の狭間に
この言葉通り、ランウェイにはダメージ加工のピーコートや風景を描いたグラフィックドレス、ローライズデニムやグランジ調のプリーツスカートが登場。どこか気怠くもロマンティックなムードが漂い、2000年代初頭のインディ・スリーズを想起させるスタイルが散りばめられていた。



続くのは、バルーンやスターのモチーフを施したチュールやオーガンザのドレス、ラブオフ加工のカシミアやアップサイクルデニム。そこにプレッピーとパンクを思わせる要素が重なり、若々しい無垢さとストリートの反逆精神の対話を生む。
さらに、モトベスト、ダブルブレストのトレンチコート、オーバーサイズの90年代風コートといったレザーアイテムが主役を担い、Z世代が好む“ lived-in ”な感覚と共鳴し、現実と夢想の間にある新たなスタイルを描き出していた。






バッグで際立つ新定番
今シーズンもコーチの“イットバッグ”人気は衰える気配を見せなかった。中でも、最も注目を集めた「キスロック・バレルバッグ」は、ランウェイ直後に販売が開始され、数時間で完売リスト入りとなった。このバッグは1973年のアーカイブデザインをベースにした新作で、シリンダー型のシルエットとキスロック金具が特徴だ。レザーやスエード、メタリックフォイルなど多彩な素材で展開され、控えめながらも洗練された色合いが揃っている。
また、コーチのアイコンバッグとして名高い「タビー」には、初のクラッチが登場。ナッパレザーとスエードを採用した、柔らかなシルエットで観客を魅了した。



一方シューズには、ブランドを代表する「ソーホー・スニーカー」が、シューレースの代わりにストラップ仕様で登場。レザーやスエードに加え、ダルメシアン柄やメタリックフォイル加工など多彩なバリエーションで展開され、ランウェイのオーガンザドレスとリンクするハートや風船のアップリケが印象的であった。さらに、厚底のワークブーツ、ソフトでフラットなダービー、ストラップ付きのレースアップフラットがコレクションを支えた。
Courtesy of BFA

アメリカの都市に潜む記憶と夢を掘り起こし、それをモードへと昇華させたコーチ 2026年春夏コレクション。クラシックな要素を引き継ぎながら、レザーやバッグを通じて新たな形を提示した今季は、ニューヨークを拠点にグローバルに広がるブランドの“共有されたヘリテージ”が、確かな力強さをもって示された。
コーチ 2026年春夏コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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