E.l.f.ビューティー(E.l.f. Beauty)スキンケアブランド「ナチュリウム」を3億5500万ドルで買収へ

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8月29日(現地時間)、E.l.f.ビューティー(E.l.f. Beauty)は、ナチュリウム(Naturium)を現金と株式を合わせて3億5,500万ドルで買収することを最終合意したと発表した。
同社のプレスリリースによると、この買収で、E.l.f.ビューティーのスキンケア事業のプレゼンスは倍増し、小売売上高の約18%に達することが見込まれる。取引は取引完了条件に従い、9月30日頃に完了する予定である。

ナチュリウムはSaltairやPhlurなどを抱えるビューティーブランド・アクセラレーターのThe Centerによって2019年に設立され、翌年に、インフルエンサーのスーザン・ヤラ(Susan Yara)氏がチームに加わった。同ブランドは、「高性能」スキンケアブランドとして知られており、ビタミンCコンプレックスセラムは特にベストセラーだ。成分と製品の効能に焦点を当てて作られたスキンケア製品の平均価格は18ドルという手頃さもあり、創業からわずか4年で大きな人気を得ている。

ヤラ氏は声明の中で、「私たちは4年足らずの間に、数々のスーパースター・フォーミュラ、献身的なコミュニティ、世界一流のチームを擁する素晴らしいブランドを築き上げました。」とコメントした。

ナチュラムは2023年に売上高9,000万ドル、調整後の利払い・税引き・減価償却前利益1,700万ドルを達成する見込みだ。この取引が会計期間の半ばで完了することを考慮すると、2024年度にはE.l.f.ビューティーへ約4,800万ドルの貢献が期待される。買収後も同ブランドはロサンゼルスの本社で営業を継続し、チームも維持していく。

一方E.l.f.は、2015年にスキンケア製品の販売を開始したブランドだ。同社は2020年のパンデミック前に、2700万ドルの現金取引でクリーンビューティブランドのW3ll Peopleを買収し、さらに同年には、歌手のアリシア・キーズと初の自社ブランド、キーズ・ソウルケア(Keys Soulcare)を立ち上げた。2022年にはE.l.f.Skinという4つ目のポートフォリオブランドを開始し、マルチビューティーブランド企業としてのプレゼンスを強めていった。

E.l.f.の平均価格帯は9ドル前後であり、ナチュリウムよりもよりリーズナブルな価格設定がなされている。また、E.l.f.はのメイン顧客は価格を重視するZ世代であるが、ナチュリウムの顧客層はミレニアル世代であり、顧客の40%が男性と言われている。

ヤラ氏は、「私たちの使命と文化は相補的であり、E.l.f.ビューティーは、私たちがリーチを拡大し、高性能のスキンケアをすべての人が利用できるようにするための理想的なパートナーになると確信しています」とコメントした。

また、E.l.f.ビューティーのCEOであるタラン・アミン(Tarang Amin)氏によると、 E.l.f.ビューティーは今後、ナチュリウムの小売拡大も視野に入れているという。現在、ナチュリウムの製品は自社サイトでの直接販売と、ターゲット、アマゾンのマーケットプレイスでしか販売がされていない。しかし、E.l.f.がその流通を広く拡大してきたように、ナチュリウムでも他の販路開拓が実現出来れば、ブランドの認知度はさらに引き上がるだろう。

タラン氏は、「短期的な目標はナチュラムがすでにある場所を最大限に活用することだ」と述べ、同時に、「ナチュラムの勢いを考えると、ナチュラムの他の販売機会も検討することになるでしょう。」「米国だけでなく、国際的にもチャンスがあると感じています。」と、その可能性について言及した。

今月初め、E.l.f.は18四半期連続の売上増を報告。8月に第1四半期の売上高は、前年同期比76%増の2億1630万ドルになったと伝え、好調な新年度のスタートを切った。純利益は266%増の5,300万ドル近くに跳ね上がった。E.l.f.ビューティーは2024年度の見通しを上方修正し、売上高は7億9200万ドルから8億200万ドルになると予想している。

今回の買収によって、E.l.f.は次なる美容コングロマリットへの可能性に着実に近づいたことになる。

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