2月9日(現地時間)、フェティコ(FETICO)は東京・東京都現代美術館にて、2026年秋冬コレクションを発表した。今季のテーマは「The Contours of Grace」。女性の装いに宿る“気品”を起点に、1920〜30年代という社会的制約の大きかった時代を生き抜いた女性たちの精神性とスタイルを、現代の視点で再構築した。
着想源として示されたのは、画家でありインテリアデザイナーのヴァネッサ・ベル(Vanessa Bell)、モデルから報道写真家へと転身したリー・ミラー(Lee Miller)、そして女性の装いに自由と規律の新たなバランスをもたらしたガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)である。それぞれに共通するのは、声高に主張せずとも、確固たる意志をもって生きた女性像だ。フェティコはその成熟した美意識を、構築的なシルエットと繊細なディテールによって可視化していった。


ランウェイを通して際立ったのは、身体の輪郭に寄り添いながらも決して支配しないテーラリングの在り方だった。
チェックやピンストライプのセットアップ、ダブルブレストのジャケット、ロングコートといったメンズウェア由来の要素は、ウエストの絞りや縦の切り替えによって、女性の造形美を際立たせるものに転化される。そこにフェティコらしいリボンタイやランジェリーを想起させるディテールが重なり、規律と官能、強さとしなやかさが共存する独自のバランスが生まれていた。

素材使いもまた、今季の世界観を静かに支えていた。尾州産の高密度ウールツイルをはじめとする上質なテキスタイルは、構築的なフォルムを保ちながらも、動きに応じて柔らかく揺れる。また、ウールボンディングのコートやトレンチ、フランス産レザーを用いたアウターは、実用性とエレガンスを同時に成立させるフェティコの姿勢を象徴する存在だ。
コレクションのカラーパレットはブラック、ホワイト、グレー、ブラウン、ベージュといった抑制の効いたパレットで統一されており、そこに刺繍やレース、ギャザー、ウエストシェイプといった装飾が控えめに添えられる。決して装飾過多に陥ることなく、成熟した女性像を静かに浮かび上がらせていく。



アクセサリーや小物にも、非日常の演出にとどまらない、日常に根ざした視点があった。オリジナルバックルを配した新作シューズ、定番バッグ「THE ARCH MINI」の新色、クラシックな帽子やグローブ、バレッタといったアイテムたちは、装いを完成させるための装飾というより、長く寄り添うための道具として提案されていた。
今季、デザイナーの舟山瑛美が描いたのは、強さと気品、しなやかさと自律を併せ持つ「成熟した女性」の姿。ランジェリー由来のディテールというブランドの核を保ちながら、より日常に根ざした実用性と高揚感を追求するその姿勢は、変化の激しい時代においても揺るがないフェティコの価値観を明確に示していた。
フェティコ 2026年秋冬コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。
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