イタリアのファッションハウス グッチ(Gucci)とその親会社のケリング(KERING)はアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の後継者となる新たなクリエイティブ・ディレクターに、イタリア人デザイナーのサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)を任命した事を発表した。
今後デ・サルノは、グッチのウィメンズ、メンズ、レザーグッズ、アクセサリー、ライフスタイルの各部門において、「メゾンのクリエイティブ ビジョンの定義と実行する」責務を担う。また、彼が手がけるグッチのファーストコレクションは、今年9月に開催されるミラノ ファッション ウィークで発表される予定だ。
イタリア、ナポリ出身のデザイナーへ託されたこの新たな任命は、業界関係者にとっては驚きだった。デ・サルノは、2005年にプラダ(PRADA)で自身のキャリアを開始。その後ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)を経て、2009年にヴァレンティノ(VALENTINO)に入社。これまでの過去13年間をヴァレンティノで過ごし、直近ではメンズとウィメンズのプレタポルテのファッション ディレクターを務めてきた。しかし、まだメジャーレーベルを率いておらず、比較的限られた知名度しかない人物であったからだ。
実はデ・サルノの前任を務めていたアレッサンドロ・ミケーレも、2015年にグッチ(GUCCI)から突然の任命をされている。その後ミケーレは、ブランドを復活させ、変革するのに貢献し、カラフルでマキシマリスト、そしてますます性別流動的なコレクションの時代を起こしていった。有名ラグジュアリーブランドにて関連性の高い経験の持ち主であるデ・サルノにも同じように期待が寄せられる。
デ・サルノは今回の就任について、「グッチのクリエイティブ・ディレクターの職務を引き受けるのは、とても光栄なことです。長年に渡り、私が信じ続けている価値観を大切にすると共に快く受け入れてくれた、素晴らしい歴史と伝統を持つメゾンに参加できることを誇りに思います。私のクリエイティブなビジョンでブランドに貢献できることに感動し、ワクワクしています」と語った。
またグッチ社長兼最高経営責任者を務めるマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzari)は、「サバトがラグジュアリー業界で最も影響力のある役割の一つであるグッチの新たなクリエイティブ・ディレクターに就任することを嬉しく思う」とその喜びを表し、「イタリアの著名なラグジュアリーメゾンで働いてきた彼は、適切かつ豊富な経験を持っているので、グッチならではのレガシーに対するサバトの深い理解と敬意を通して、独自のビジョンでクリエイティブチームを率いてくれるでしょう。それが、ブランドの豊かな伝統を生かしながらファッションの権威を強化し、このエキサイティングな次の章を綴ることにつながると確信しています」と述べる。
一方で、ケリングの会長兼CEOを務めるフランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)は、「サバト・デ・サルノ氏が創造的な指揮を執ることで、メゾンは非常に魅力的な製品とコレクションを通じてファッションと文化の両方に影響を与え続け、現代のラグジュアリーにユニークで現代的な視点をもたらすだろう」と話した。