2月19日(現地時間)、ロンドン ファッションウィークにて、ウクライナ発のブランド「クセニアシュナイダー(KSENIASCHNAIDER)」が2026年秋冬コレクション「Denim Workshop」を発表した。
今季のタイトルが示す通り、同コレクションは、ブランドのDNAであるデニムを再解釈し、その物質性を越えて再構築する実験的試みである。デニムを“生地”として扱うのではなく、“構造”や“イメージ”、さらには“概念”として再提示する姿勢が全体を貫いている。
デニムを超える構築実験
今季、デニムは複数の状態で存在した。ニット、プリント、キルティング、再構築、そして置換。素材の固定観念を解体するアプローチだ。
ニットによるジーンズやジャケットは、糸によって伝統的なデニムの構造を再現しながらも、実際のデニム生地は使用しないという逆説的な構築を採用。一方、パファージャケットやスカート、ショーツといったアイテムは中綿入りのテクニカル素材で制作されながら、ハイパーリアルなデニムプリントを施すことで“デニムの幻影”を作り出している。錯覚そのものをデザイン言語へと昇華させる手法である。
さらに象徴的なのが、デニム特有のゴールドトップステッチの再解釈だ。縫製という機能的要素を解体し、刺繍モチーフとして衣服の輪郭をなぞる装飾へと転換。デニムの記号性を抽出し、ドローイングのように再構築する視点が提示された。
新素材「BROD-X」も導入。これはリサイクルデニム廃棄物から開発された革新的テキスタイルであり、サステナビリティと実験性を両立させるブランドの姿勢を象徴している。



Multipocketと建築的シルエット
メンズラインは、アントン・シュナイダー(Anton Schnaider)によるオリジナルの「クセニアシュナイダー メン(KSENIASCHNAIDER Men)」の思想を継承し、「Multipocket」構造として再展開された。
ジーンズ、シャツ、ジャケットにユーティリティモジュールを拡張し、衣服をコンパートメントの集合体へと変換。ワードローブを“好奇心のコレクション”と捉える発想の延長線上にある提案であり、本能的かつレイヤード、そして機能性を隠さない構築が特徴だ。
ブランドを象徴する「Cubic Denim」も進化。リサイクルやパッチワークの手法を取り入れながら、ボクシーで建築的なシルエットを維持。プロポーションと幾何学への探究をさらに推し進めている。


Lee Cooperとの再対話
2度目となる「リー クーパー(Lee Cooper)」とのコラボレーションも実現。英国デニムの歴史を持つリー クーパーのアーカイブ的クラフトと、再構築を軸とするクセニアシュナイダーの実験精神が交差する。ヘリテージと前衛性の融合という明確な対話構造が見て取れる。
Nemiroffとの協業と新アクセサリー
なお、ショーは「ネミロフ(Nemiroff)」とのパートナーシップのもと発表された。新アクセサリーとして登場したのは、「Platform Bag」をベースにしたボトルホルダー。ミニマルなキャリアをパフォーマティブなオブジェへと変換し、持ち運ぶという行為そのものをジェスチャーとして再解釈してみせた。

新マニフェスト「cool denim and nonsense tricks」
ブランドは「cool denim and nonsense tricks」を新たなマニフェストとして掲げ、デニムという基盤を維持しながらも、その意味と構造を更新し続ける姿勢を明確に打ち出した。
デザイナーのクセニア・シュナイダー(Ksenia Schnaider)は、2026年より戦略的ポジショニングを洗練させつつも、「基盤であり実験でもあるデニム」への執着を変えることはない。素材を超え、記号へ。記号を超え、思想へ。デニムを媒介にしたブランドの思考実験は、今季も新たな局面へと進んでいる。
クセニアシュナイダー 2026年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。
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