仏LVMH、マーク ジェイコブスの売却検討の報道を否定

Marc Jacobs

4月30日(現地時間)、フランスのラグジュアリー・コングロマリットであるモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(=LVMH)は、「マーク ジェイコブス(Marc Jacobs)」売却の可能性について、強く否定した。

「LVMHは、買い手候補から関心を寄せられる中、(マーク ジェイコブスを売却するという)選択肢を探っている」と米ブルームバーグ(Bloomberg)が報じる中、同社の広報担当者は「当社はこれを強く否定する」とコメント。

米ブルームバーグが伝えた内部関係者からの情報によると、売却の検討は初期段階であり、LVMHはこの関心にどう対応するか最終決定をしていないようだ。LVMHは、自社で事業を成長させ続ける可能性もあるという。

LVMHが傘下のブランドを売却することは比較的珍しい。最後に大規模な売却が行われたのは2016年で、「ダナ キャラン(Donna Karan)」と「ダナ キャラン ニューヨーク(DKNY)」を企業価値6億5,000万ドルで売却することで合意した。

世界最大のラグジュアリー・コングロマリットであるLVMHは、「ティファニー(Tiffany & Co.)」、「クリスチャン ディオール(Christian Dior)」、「ドン ペリニヨン(Dom Perignon)」など75の一流ブランドを統括しているが、その中でマーク ジェイコブスは、価格帯が比較的安価なブランドに位置付けられる。例えばシグネチャーのトートバッグの販売価格は、550ユーロだ。その為、同社は、よりラグジュアリーブランドとして再建していくことに注力してきた。

また、同グループはレーベル別に業績を分けていないが、近年、マーク ジェイコブスの商品ラインナップの簡素化を実施した。その結果、2023年の収益と利益はプラスとなり、マーク ジェイコブスは、目覚ましい業績を達成したファッション・皮革製品部門のブランドのひとつとなった。

なお、デザイナーのマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)は、1997年から2013年までの16年間、ルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターを務めた人物だ。ジェイコブスが自身の名を冠したブランド「マーク ジェイコブス」を発表したのは1984年。当時、アメリカファッションデザイナー協議会(CFDA)が授与する「ニュー・ファッション・タレント賞」を最年少で受賞した。

現在マーク ジェイコブスは、プレタポルテ、アクセサリー、香水、メイクアップなど、複数の商品ラインを持ち、世界60カ国に展開している。