LVMH、高級品購入者の回復力で売上高を伸ばす

1月25日(現地時間)、仏ラグジュアリー・コングロマリットのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、2023年に862億ユーロの売上高を記録し、2022年比で13%の既存事業成長率を達成したことを発表した。

第4四半期の既存事業売上成長率は10%に。これはアナリストが予想した9%増をわずかに上回り、第3四半期は9%増、第1・第2四半期はともに17%増という結果になった。

すべての事業グループが既存事業ベースで大幅な増収を達成したが、ワイン&スピリッツ部門だけは例外で、減収(既存事業ベースで4%減)となった。経常利益は2%減少。しかし、欧州、日本、その他のアジア地域では2桁の既存事業成長率を達成を記録した。

LVMH会長兼CEOのベルナール・アルノーは、 「2023年の業績は、経済的・地政学的な課題に見舞われた1年であったにもかかわらず、私たちのメゾンの卓越した魅力と、欲望を掻き立てる力を示しています。グループは再び大幅な増収増益を記録しました。当グループの成長戦略は、各事業の補完的な性質と地理的な多様性に基づくものであり、イノベーション、高品質なデザイン、卓越したリテールを奨励し、メゾンの伝統により文化的・歴史的な側面を加えています。」と、リリースの中でコメント。

同グループは、2023年を通じて、ルイ・ヴィトンとクリスチャン・ディオールの見事なファッションショーを開催し、ティファニーのニューヨーク旗艦店「ザ・ランドマーク」を改装して再オープンさせ、さらにセフォラの店舗コンセプトの人気向上を図るなど、新たな展開を見せた。その他にも、環境保護や、新しい才能の開発、クラフツマンシップの継承といった、長期的ビジョンに不可欠ないくつかの重要分野で前進を遂げた。

今後、2024年7月から9月にかけて行われるパリ2024年夏季オリンピック・パラリンピックでは、LVHMが五輪の公式スポンサーとして全面的な支援をすることにも世界から注目が集まっている。

昨年度はインフレ上昇の影響を受け、若年層の富裕層が減少したことや、散財を控える消費者が増えたことで、世界的にラグジュアリー業界の売り上げは停滞気味となった。一方で、酒、宝飾品、化粧品、高級ファッションのコングロマリットであるLVMHが売り上げを伸ばしていることは、ラグジュアリー業界全体の健全性を示す指標と見なされている。この好調な流れに乗って、他のラグジュアリー企業も業績の回復を目指していけるのだろうか。