日本人デザイナーの大月壮士（Soshi Otsuki）、2025年度LVMHプライズを受賞

9月3日（現地時間）、日本人デザイナーの大月壮士（Soshi Otsuki）が手掛けるブランド「ソウシオオツキ（Soshiotsuki）」が、2025年度の「LVMHプライズ」を受賞した。授賞式はパリのフォンダシオン・ルイ・ヴィトンで行われ、業界を代表する審査員やゲストが見守るなか、同ブランドが栄冠を手にした。

LVMHプライズはファッション界で最も権威ある若手デザイナー向けアワードのひとつであり、優勝者には賞金とともにLVMHグループの専門家による1年間の支援が提供される。2015年に設立されたソウシオオツキは、日本の伝統を現代的なクラフトマンシップと融合することをコンセプトに掲げており、その独自性が高く評価された。

大月は壇上で、「審査員の皆さん、デルフィーヌ・アルノー、LVMH、そして支えてくださった全ての方々に感謝します。本当に光栄です」と静かに語った。さらに、事前に公開された映像では「2015年にソウシオオツキを立ち上げました。日本の伝統を現代的なクラフトマンシップと融合し、日本の文化的DNAを独自の視点で解釈しています。精密さと感情を組み合わせて、現代的なシルエットを生み出しているのです」と自身のデザイン哲学を説明している。

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大月壮士は1990年、千葉県生まれ。文化服装学院でメンズウェアを専攻し、在学中には「ココノガッコウ（Coconogacco）」にも通いながら表現を磨いた。2015年に自身のブランド「ソウシオオツキ（Soshiotsuki）」を設立。ブランド設立2シーズン目で早くも頭角を現し、2016年には「LVMHプライズ」のファイナリストに選出される。その後も国内外で高く評価され、2019年には「TOKYO 新人デザイナーファッション大賞プロ部門」、2024年には「TOKYO FASHION AWARD 2024」を受賞し、国際的な発信力を強化した。

また、カール・ラガーフェルド審査員特別賞にはスティーブ・オー・スミス（Steve O Smith）が選ばれ、独自のスケッチを基盤としたグラフィカルかつロマンティックなドレスが高い評価を得た。さらに、クラフト賞は英国のトリシェジュ（Torisheju）に授与され、卓越したクラフツマンシップと革新性、サステナブルなアプローチが評価された。

ファイナリストには、このほかにも多彩な才能が集った。バレエの舞台経験を背景に独自の感性を培ったアラン・ポール（Alain Paul）の「アランポール（ALAINPAUL）」、ベンジャミン・バロン（Benjamin Barron）とブロール・オーガスト・ヴェストボ（Bror August Vestboe）のデュオによる「オールイン（ALL-IN）」、高度なドレーピング技術を駆使するフランチェスコ・ムラーノ（Francesco Murano）の「フランチェスコムラーノ（FRANCESCO MURANO）」、アフリカのアイコンやプリントを斬新なテーラリングと融合させるトル・コーカー（Tolu Coker）の「トルコーカー（TOLU COKER）」、そしてアムステルダムを拠点とするダニエル・アイトゥガノフ（Danial Aitouganov）の「ゾマー（Zomer）」といった6ブランドが名を連ねた。

今回の審査員には、フィービー・ファイロ（Phoebe Philo）、ファレル・ウィリアムス（Pharrell Williams）、サラ・バートン（Sarah Burton）、ステラ・マッカートニー（Stella McCartney）、ジョナサン・アンダーソン（Jonathan Anderson）、ニコラ・ジェスキエール（Nicolas Ghesquière）、シルヴィア・フェンディ（Silvia Fendi）といった業界を代表する審査員が参加。さらに、LVMH会長兼CEOベルナール・アルノーの顧問であるシドニー・トレダノ（Sidney Toledano）、ディオールCEOのデルフィーヌ・アルノー（Delphine Arnault）らグループ幹部も審査に加わった。

なお、大月の受賞は、「ダブレット（doublet）」の井野将之、「セッチュウ（SETCHU）」の桑田悟史に続く、日本人として3人目の栄誉にあたる。また過去には、LVMHプライズの受賞によって、サイモン・ポート・ジャックムス（Simon Porte Jacquemus）、デムナ（Demna）、グレース・ウェールズ・ボナー（Grace Wales Bonner）などが、その才能を世界へ飛躍させてきた。