初パリコレ参加のピーター・ドゥ(Peter Do)| 2024年春夏コレクションは『服』そのもので魅せる

Peter Do
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9月26日(現地時間)、ピーター・ドゥ(Peter Do)は、パリ・ファッション・ウィークで2024年春夏コレクションを発表した。

2022年春夏コレクションでニューヨーク・ファッション・ウィークデビューを果たして以来、ドゥは常にニューヨークの常連だった。しかし、今季2024年春夏コレクションでは、ピーター・ドゥは、ブランドとして初となるパリ・ファッション・ウィークへの参加を表明。更にニューヨーク・ファッション・ウィークでは、ヘルムート・ラング(Helmut Lang)の新クリエイティブ・ディレクターとしてのブランド再建へ向けた新たな任務を果たし、注目のデザイナーとして国際的な脚光を浴びている。

今シーズンのピーター・ドゥのリリースの中には、「今シーズン、私たちは自分たちの作品が自分自身を語ることを望んでいます。愛をこめて、ピーター・ドゥ・チーム」と、書き記されていた。その言葉の通り、今コレクションでは、彼の作品の真髄となっているエレガンスで完璧なテーラリングをコアに、更に形を変え、新しいものへと進化させてみせた。

コレクションに特筆すべきことはいくつかある。一つは、作品のほとんどに不規則な対比で取り入れられていた2色のカラーブロックだ。例えば、パリッとした白シャツには、腹部分より下が赤に切り替わっていたり、前面が縦長に切り裂かれたグレーのパンツは、モデルが歩くたびにその切れ目からシアー素材の赤いパンツが覗いた。ラストルックに登場した黒いテーラードジャケットでは、カラーが腹部分から白に切り替わっており、ハイウエストのスカートにジャケットをインしたスタイリングによって、遠目から見ると着物の帯をしているようだった。全体的にコレクションのカラーパレットは、ホワイト、ブラック、キャメル、レッド、シルバーと控えめなものであったが、2色のカラーで創り出すその絶妙なバランス(ルックによってカラーブロックの比率も様々で決まったルールもない)が、「服」自体を引き立て、より洗練さを際立たせた。

また、ルックを凝視すると、シンプルさの中に散りばめられたこだわりのあるディテールが目を引く。例えば、美しく仕立てられたのローライズのパンツでは、ウエストバンド部分がわざとほつれていたり、風通しのよいロングスカートのウエストバンドにコントラストの効いたニットがあしらわれていたり、シルクの薄手のブラウスにレザーのトリミングが施されていたりなど。一見限りなくミニマルに見えるが、こうしたドゥの遊び心が、「クワイエットラグジュアリー」の幅を広げ、面白くさせてくれている。

ピーター・ドゥが先日発表したバナナ・リパブリック(Banana Republic)とのコラボレーションラインをこのランウェイに登場させたことも忘れてはいけない。取り外し可能なタートルネックや、トレンチスカート、タキシードパンツなど、どれもウェラブルで日常的に着回せるアイテムがばかりで、それがメインラインにシームレスに溶け込んでいた。

今回パリコレデビューを実現したピーター・ドゥは、更にヨーロッパでも多くの新しいファンを獲得していくだろう。ソリッドで立体的なカッティングと美しく完璧なテーラリングで作り上げるドゥの「服」は、いつも着る人々に内なる自信を与えてくれるものだ。

ピーター・ドゥの2024年春夏コレクションの全てのルックは以下のギャラリーから。