ニューヨークでは、11月13日〜19日の7日間にかけて、ニューヨーク・シティ・ジュエリー・ウィーク2023(NYC Jewelry Week 2023)が開催された。このジュエリー・ウィークは、毎年11月にニューヨークで行われる恒例イベントであり、1週間に渡り、多くのジュエリーブランドや業界関係者によるイベントやワークショップが行われる。
そんな会期中に、ロックフェラーセンター内の一室では、ジュエリー・プラットフォームのザ・ジュエラーズ・サークル(The Jewelers Circle)が主催するプライベートイベントが開催された。同社は、2023年9月に、誰もがヴィンテージ・ジュエリーやレア・ジュエリーにアクセス出来る消費者向けのD2Cプラットフォームをリリースしており、今回はそれにちなんで実施されたイベントだった。
希少なジュエリーが見つかる唯一無二のD2Cプラットフォーム
ザ・ジュエラーズ・サークルが取り扱うのは、世界中から選りすぐりされた希少性の高いレア・ジュエリーや、長きに渡り受け継がれてきた比類のないヴィンテージ・ジュエリーの数々だ。会場に入ると、まるで宝島に迷い込んだかのような感覚を覚えてしまうくらいの煌びやかな宝飾品のディスプレイが美しく並んでいた。アールデコからビクトリア朝、レトロなスタイルまで、歴史的な人気の時代が幅広くカバーされ、またカルティエやヴァンクリーフ&アーペル、ティファニーなどのトップブランドが誇る貴重なピースも豊富に取り揃えられている。
こうしたジュエリーの一つ一つは、現在ザ・ジュエラーズ・サークルが運営するD2Cプラットフォームにて、誰でも購入可能となっている。もともとザ・ジュエラーズ・サークルのサービスは、ジュエリー業界関係者のみに向けたのソーシング・プラットフォームとして始まった。しかしパンデミックの中、トレードショーの開催が困難になり、ビジネス環境の変化に対応する必要性を感じていく中で、同社のソーシャルメディア・チャンネルで目にした宝飾品について、個人の顧客から多く問い合わせがあることに気が付いたという。その後、数年にわたるプラットフォームの強化や新機能の開発を経て、消費者向けの新しいD2Cプラットフォームを展開することになったのだ。
ザ・ジュエラーズ・サークルの最高執行責任者であるジュリー・トンプソン=ルリッシュ(Julie Thompson-Leriche)は、「ヴィンテージ・ジュエリーに対する消費者の需要は近年大幅に増加しています。既存のマーケットプレイスはありますが、高い目利きのスキルを持つトップ・ヴィンテージ・ジュエラーと、当社のエクスクルーシブな専門知識をジュエリー愛好家達へ提供できるマーケットプレイスはありません。」と声明の中で述べ、「私たちの主な目的は、最も有名なヴィンテージ・ディーラーのコミュニティと、希少品へのアクセスを望んでいる消費者を結び付けることです。」と続けた。
また、同社は専門家チームと共に、個人のユニークな趣味や好みに応えるべく、パーソナライズされたショッピング体験に注力を注ぐ。仮に、顧客がザ・ジュエラーズ・サークルのプラットフォーム上で希望の商品を見つけられない場合には、コミュニティ内のディーラーに連絡するコンシェルジュサービスを通じて、あらゆる手段を講じて調達していくのだという。
国際アンティーク宝石協会(IAJA)による認証プロセスの導入
第二次流通しているラグジュアリー品やヴィンテージ品を購入する時に、顧客が最も懸念する事が、その商品が本物かどうかの真偽だろう。
ザ・ジュエラーズ・サークルが取り扱うジュエリーの認証は、国際アンティーク宝石協会(IAJA)の専門家たちによって行われる。国際アンティーク宝石協会に所属する専門家たちは、世界有数のジュエリーブランドのジュエリー、貴重品、収集品を専門とする元キュレーター、アーキビスト、ディレクターなどによって構成されている信頼のおける専門家集団だ。同社プラットフォームで販売されるすべてのジュエリーアイテムには、商品の属性を詳細に説明するIAJAによる専門文書が付属されており、専門家の知識と経験に基づいて、時代、メーカー/産地、用途、金属、石などのアイテムの特徴を可能な限り正確に記載した説明書が添えられるという。
ルリッシュは、「当社のプラットフォームは、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供するだけでなく、ユーザーがこれらの優れた作品を簡単に見つけて学習できるようにするだけでなく、特に IAJA の専門家達とのパートナーシップにより、自信を持って商品をご購入頂けます。」と説明。
ザ・ジュエラーズ・サークルの創設パートナーであるマリアンヌ フィッシャー(Marianne Fisher)は、「ヴィンテージやレアなジュエリーはファッションの歴史の中で特別な位置を占めており、過去のやり方ではもはや再現できない、著名な時代の卓越した職人技と芸術性を表現しています。ジュエラーズ サークルは、これらの絶妙な作品の価値と魅力を理解しているため、最も希少で特別な作品の調達に特化しているのです。」とコメントした。
ファイン・ジュエリー部門に関心を寄せるラグジュアリー業界
ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)がアルタガンマ財団のために実施した世界のラグジュアリー市場に関する最新調査によると、ここ数年、ラグジュアリー業界は約280億ユーロに相当する高級宝飾品分野に注力している。また、この調査では、2019年から2022年にかけてこの分野が37%成長することが強調された。
そんな顧客の高級宝飾品への重要の高まりに合わせて、近年、大手ラグジュアリーブランドも、これまで以上にハイジュエリー、ファインジュエリー部門に注目し始めている。
LVMHは、2022年末にジュエリーメーカーのペデモンテ・グループ(Pedemonte Group)を買収した。ペデモンテ・グループは、イタリア・ピエモンテ州のヴァレンツァとヴァルマドンナにある職人技と技術を融合させた、複数の独立系宝飾品製造工房が2020年に合併して誕生した企業だ。
その数ヶ月前には、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が、ファインジュエリーの優れた技術を持つ、大手ブランドのジュエリーの下請け会社であるオテリーヌ(Oteline)とFGマニュファクチュール(FG Manufacture)を買収。また先月6日には、ブシュロン(Boucheron)が、パリの4つの工房とメーカー、エタブリスマン・E・ブロンドー(ETABLISSEMENTS E. BLONDEAU)、ベルター(BELTER)、シャンソン & シー(CHANAON & CIE)、FGデブロプマン(FG DEVELOPPEMENT)を買収している。
ザ・ジュエラーズ・サークルは、世界中の優秀なジュエラーと協力して、最も魅力的で最高品質のジュエリーを調達している。人々のハイジュエリーへの関心の高まりに伴い、同社が提供する希少なヴィンテージ・ジュエリーやレア・ジュエリーにも、今後更なる注目が集まりそうだ。