ユニクロ 北米店舗でリペアサービスの提供拡大へ | 長く愛される真のライフウェアを追求

ユニクロ(Uniqlo)は店舗内へ持ち込んだ衣料の修理が行える「Re:Uniqlo Studios」を北米でさらに拡大している。

3月17日(現地時間)、同ブランドはリペアサービス「Re:Uniqlo Studios」をニューヨークの5番街、シカゴのステートストリート、ビバリーヒルズ、フロリダのディズニー スプリングスに新たにオープンさせた。また、ニューヨークのソーホーにある既存店舗も合わせてリニューアルを行なった。

ユニクロが「Re:Uniqlo Studios」をスタートさせたのは、2021年秋にドイツ、ベルリンのタウエンツィーン店で開始されたリペアサービスがきっかけだった。

ベルリンでは、慈善団体「ベルリナー・シュタットミッション」と手を取り合い、衣料の不良箇所を直した商品をホームレスに提供するという支援活動を行っている。こうした衣料修理の様子を、タウエンツィーン店で顧客とスタッフに向けてデモンストレーションするワークショップが行われた際に、店舗の一角にリペアサービスのコーナーが設置されたことから発展していった。

その後同ブランドは、愛されている洋服のライフサイクルを伸ばしたいという想いを掲げ、昨年度ニューヨークのソーホーとロンドンのリージェントストリートに新しくオープンした旗艦店に「Re:Uniqlo Studios」を設置を開始。今回新しく導入された4店舗を加えると、現在ユニクロでは、世界9カ国、17店舗でこのリペアサービスを提供している。

「Re:Uniqlo Studios」は、着用済みのユニクロ製品のほつれや穴、痛みの修理や、カスタマイズによる既存商品の作り替えをしてくれ非常に画期的なサービスだ。

ユニクロでは「Re:Uniqlo Studios」が設置される随分前から、購入したズボンの丈が長い場合、無料でお直ししてくれるというサービスを提供してきた。現在の「Re:Uniqlo Studios」では有料で修理を行っているが、その価格は5ドルからと良心的なものになっている。また、既存製品をカスタマイズし、リメイクしたい場合にはその価格はより高く変動する。

また「Re:Uniqlo Studios」では、リペアやカスタマイズサービスだけではなく、不用商品の寄贈や新しい衣料材料へのリサイクルといったサスティナブルな取り組みも精力的に行う。

その取り組みの一つが、「不要になった衣服を回収し再利用する」というもの。回収された衣服は、繊維リサイクルやエネルギー利用などの方法で再利用される。店舗で使われるプラスチック製品もリサイクルされており、回収・分別されたあとは、新たなプラスチック製品として生まれ変わっている。

その他、不要になったダウンジャケットを回収し、繊維リサイクルにより再利用する「ダウンリサイクルプロジェクト」も独自に展開。回収されたダウン製品は、ダウンと羽毛にそれぞれ分別され、繊維製品やシートなどに再利用される。こうした100%のリサイクルの実現によって、生産過程におけるCO2排出量を約20%削減することが可能になるそうだ。

また店内にリサイクルボックスを設置し、顧客から回収した不要となった衣類を、難民キャンプや被災地など衣料を必要としている人たちに届けるプロジェクトも実施している。

この取り組みは、UNHCRや世界各地のNPO・NGOと協力し、被災地支援や紛争地域の支援、貧困解決支援など、様々な場面で活用されている。同ブランドは、一つの衣類の寿命を長くすることを、製品の設計・生産段階から視野に入れ、製品の品質や耐久性を高めることで、寄付された洋服が長く使われるよう取り組んでいるという。

 

一般的に多くのラグジュアリーブランドは、以前から自社で修理サービスを提供しており、顧客へ生涯修理を保証しているところもある。

しかし近年では、ユニクロの様に、リペアプログラムを実施しているファストファッションブランドも増えてきた。スペインのファッションブランド ザラ(ZARA)は、昨年11月にイギリスで不用になった衣料品のリメークやリユース販売などを行う「ZARA Pre-Owned」を開始している。また、カリフォルニアに拠点を置くテイラースティッチ(Taylor Stitch)は、2019年にRestitchという修理・再販のプラットフォームを立ち上げた。

スウェーデン発のファストファッションブランドH&Mでは、2013年から不要になった衣類の持ち込みをした顧客へ次回の買い物時に利用できるクーポンを発行し、リサイクルを呼びかけている。回収した衣類は、古着として再販されたり、リメイクコレクションやクリーニングクロスなど、別の製品に生まれ変わったりしている。

Image: H&M

ファストファッションブランドがサステイナブルにシフトしていく中で、ユニクロは長年に渡り、製品の縫製や素材、クオリティの高さが評価されており、長く着られる「ライフウェア」として世界中で愛されてきた。

同ブランドのリサイクル、リペアサービスの拡大の動きは、本来消費者がファストファッションに対して抱く「安価で使い捨てされるもの」という概念を覆すもの。ブランドが掲げる「ライフウェア(=日常生活で長く着られる服)」の真の意味を訴えかけているようだ。

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