ベトナム最大級の繊維・アパレル見本市「ベトナム国際アパレル・繊維・繊維技術見本市(VIATT 2026)」が、2026年2月26日から28日にかけてホーチミン市にて開催され、3日間の会期を終えた。
54カ国・地域から17,000件を超える来場、21カ国・地域から460社以上が出展した今回は、ASEAN地域における繊維産業の一大調達プラットフォームとして、その存在感をさらに強固なものとした。


転換期を迎えるベトナム繊維産業
開会式では、ベトナム貿易振興庁(ヴィエトレード)副局長のブイ・クアン・フン(Bui Quang Hung)が、業界の変革を改めて強調した。クアン・フンは、ベトナムの繊維・衣料産業が「量から質へ、受託生産から高付加価値生産へ、そして従来の生産モデルからグリーン・スマート製造へ」と移行する転換期にあることを言及。世界の主要ブランドによる技術移転や管理ノウハウの共有、国内サプライチェーンの育成を促す場としてのVIATTの意義を語った。
欧州勢が存在感、新設トルコゾーンも登場
今回の出展面で際立ったのが、欧州ゾーンの拡充だ。イタリア、スイス、英国の主要出展者が集結したこのゾーンの中核を担ったドイツ・パビリオンでは、品質・コンプライアンス・確かな製造力を重視した幅広い製品とソリューションが並び、バイヤーから高い評価を得た。さらに今回初登場のトルコゾーンが加わり、欧州調達の選択肢が一層広がった。

ドイツ・パビリオンの主要出展者として参加したイバナ(Ibena)上海テクニカルテキスタイルの副総経理、チシアン・ジャオ(Chixian Zhao)は次のように述べている。
「ドイツ・パビリオンはシンプルで美しいデザインながら、コンセプトも充実していました。VIPバイヤーとのマッチングやステージでの自社紹介など、非常に価値のある仕掛けがあリマした。ベトナムの消防機関と繋がりができたほか、ベトナムに工場やサプライチェーンを持つ海外バイヤーが多いことにも驚かされました。」
同社は防炎素材や化学防護作業服、EV火災対策製品といった技術繊維に特化した企業だ。
「最も国際色豊かな見本市」――出展者が語るVIATTの魅力
3部門統合フォーマット(アパレル生地&ファッション、ホーム&コントラクトテキスタイル、テクニカルテキスタイル&テクノロジーズ)も、多様な出展者から支持を集めた。
米国のコヴェーション・バイオマテリアルズ(Covation Biomaterials)LLCのグローバルマーケティングコミュニケーションズマネージャー、キキ・チェン(Kiki Chen)は「この2年間で参加した中で最も国際色豊かな見本市であり、米国、欧州、東南アジア、中国など世界各地の質の高いバイヤーや関係者に出会えました。インディテックス(Inditex)、PVH、スニーカーズ・グループ(Sneakers Group)といった国際ブランドとの繋がりも生まれました」と振り返る。
その他、新設のテキスタイルケミカル&染料ゾーンも、好評を博した。インドのコラーテックス・インダストリーズ(Colourtex Industries)の韓国/ベトナム市場ゼネラルマネージャー、デビッド・YT・クウォン(David YT Kweon)は、「複数セクターの企業が一堂に集まることで、アイデアの交換・共有の機会が増え、ビジネスに好影響を与えました」と強調した。
著名VIPバイヤーも集結
今回は、8カ国・地域から10のバイヤー代表団が調達活動を行ったほか、アディダス(Adidas)、アン フオック(An Phuoc)、ギャップ、H&M、アイビー モーダ(Ivy Moda)、ルルレモン(Lululemon)、無印良品(Muji)、ニトリ(Nitori)、オスプレー(Osprey)、ペリー エリス(Perry Ellis)など著名ブランドのVIPバイヤーも出展社との商談に参加した。


カナダのマウンテン・エクイップメント・カンパニー(Mountain Equipment Company)で原材料リードを務めるウィリアム・イップ(William Yip)は次のように語っている。
「カナダ企業として、ベトナムの多くの戦略的ベンダーと提携しています。この国の特徴は、量から素材の差別化という革新的な変化へのシフトです。このフェアは非常に重要で、多くのブランドにとってバリューチェーン全体を見渡せる場となっています。トレーサビリティの観点から、糸のサプライヤーから生地、縫製まで把握できることは非常に有益でした。」
インドのTQMグローバル・バイイング(TQM Global Buying)代表兼CEOのサンジェエフ・ジェイン(Sanjeev Jain)は、「インドから約15名のバイヤーチームで参加し、南アフリカ、米国、欧州などのお客様を代表しています。ベトナムのデザイントレンドは非常にユニークで興味深いものです」と、今回の所感を伝えた。
初開催のトレンドフォーラムが示す未来
付帯プログラムも大幅に充実した。初開催となったトレンドフォーラム、ベトナム繊維・縫製産業発展戦略サミット(VTGIS)、繊維産業交流会のほか、3回のファッションショーが会期中を彩った。
トレンドフォーラムのリードキュレーターでありMUSEATIVEのクリエイティブディレクターを務めるカイ・チャウ(Kai Chow)は、「東南アジアはもはや単なる製造代替地ではなく、戦略的イノベーションハブになりつつあります。トレンドフォーラムは、トレンドの追随から理解へと業界を導く場です」と述べる。
また、フランスのロイヤル・メール(Royal Mer)のプレジデント兼CEOのエルベ・クーロンベル(Hervé Coulombel)は、ファッションショーへの参加を通じてベトナム市場への展開を模索。「昨年韓国での流通を開始したばかりで、ベトナムをアジアでの第2の展開国として見据えています」と語った。
デジタルトランスフォーメーションへの関心も高い。CLOのビジネス開発アソシエイト、カーシー・ファン(Kathy Pham)は、「デジタルトランスフォーメーションはもはや選択肢ではありません。3Dデザイン、AIを活用した開発、バーチャルコラボレーションは、廃棄削減・リードタイム短縮・グローバルコミュニケーション改善の標準ツールになりつつあります」と述べ、「早期導入企業はコスト・スピード・サステナビリティで競争優位を得られます」と付け加えた。
次回は2027年2月、さらなる広がりへ
メッセ・フランクフルト(HK)Ltdのゼネラルマネージャー、ウィルメット・シア(Wilmet Shea)は今回を総括し、「VIATTは毎回、深さと広がりの両面で成長を遂げています。単なる調達プラットフォームにとどまらず、業界全体がASEAN地域の繊維産業の未来を共に形作る場となっています。三つの繊維セクターにまたがるバリューチェーン全体の俯瞰的な視点と、デザイン・サステナビリティ・国際協力への共通のコミットメントが、この場の唯一無二の価値を形成しています」と語った。
なお、次回のVIATT 2027は、メッセ・フランクフルト(HK)Ltdとヴィエトレードの共同主催により、2027年2月24〜26日にホーチミン市で開催される予定だ。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.