ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)2026年秋冬:黒に宿る北斎の息吹

ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)
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3月6日(現地時間)、ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、パリ ファッションウィークにて、2026年秋冬コレクションを発表した。

会場は前回と同様、パリ市庁舎オテル・ド・ヴィル(Hôtel de Ville)。歴史ある石造りの建物を舞台に選んだこと自体、すでにデザイナー山本耀司(Yohji Yamamoto)の意図を物語っている。ショーが始まる前、ゲストの席には一枚のカードが静かに置かれていた。スマートフォンを手放し、目の前に広がるものをそのまま受け取ってほしいというデザイナーからの、言葉少なな要請だ。

着物という原点へ

今シーズンのコレクションは、日本の着物を出発点に構築されている。ただし、それは再現や引用ではない。着物の構造(巻く、重ねる、結ぶという身体との関係性)をヨウジヤマモト独自の造形言語に置き換えた、いわば彼自身による翻訳作業だ。

布は身体のわきに集められ、独自の結び方によって形をつくる。幾重にも重なる衿元やコートの重なり合いから、異素材のテキスタイルが現れる。インディゴのコットンからベルベット、ジャカードまで、素材の格や出自に序列をつけない姿勢もまた、このハウスの一貫した主張だ。全ルックを貫くブラックのパレットは1980年代からの揺るぎない美的基盤であり、そこへ色彩が差し込まれるとき、その効果はより鮮明に際立つ。

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 1

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 12

北斎、そして色彩源泉

色彩源泉葛飾北斎(Katsushika Hokusai)だ。江戸時代後期浮世絵ある北斎は、晩年まで制作意欲衰え知らず、その版画ゴッホはじめするヨーロッパ画家たち多大影響た。ジャポニスム広がりにおいても、極めて重要存在としている。

その北斎モチーフが、ウジヤマモトブラック宿る。大胆イラスト、うねるよう流れる模様、そして精緻上げジャカード。これらの要素衣服構造一体となり、シルエットそのもの形づくる要素なる

鮮烈なグラフィックと静謐な緊張感の中で北斎世界新たなかたちとい、現代ランウェイ静か立ち現れていた。

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 14

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 11

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 19

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 33

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 37

フィナーレ、伝統の重力

ショーの締めくくりとして登場した5人のモデルが纏っていたのは、厳格なシルエットのニットウェアと木製の下駄だった。

かつて日常に息づいていた下駄の音は、今やほとんど聞こえない。その忘れかけていた感触をランウェイへ呼び戻すヤマモトの眼差しには、失われゆくものへの静かな執着が滲む。

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 44

Yohji Yamamoto AW 2026 27 Credit Monica Feudi Look 45

高く結われた髪と、幾層にも重なる布の質量が、ショーの余韻をゆっくりと引き延ばした。ヤマモトがランウェイに姿を現すと、会場は総立ちの拍手に包まれた。

喝采を受けながら礼をするその姿に、観客もまた自然と頭を垂れた。巨匠への敬意が、言葉なく会場全体に伝わった瞬間だった。

ヨウジヤマモト 2026年秋冬コレクションの全てのルックは、以下のギャラリーから。

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