今後店内でフレグランスを試すことは、もう少し未来的なものになりつつあるだろう。
L’Oréal Group(ロレアルグループ)は、神経科学のスペシャリスト企業であるEmotiv(エモーティブ)と提携を結び、顧客の感情を分析することで、消費者がパーソナライズされたフレグランスの選択を正確に出來るようにする為の新たなサービスに取り組んでいる。
ロレアルの調査によると、消費者の約77%がフレグランスから何らかの感情的なメリットを求めており、12〜34歳の消費者の半数以上がフレグランスを購入する際は、その時の気分で自分にあった香水を選んでいることが判明している。
エモーティブとロレアルグのテクノロジーインキュベーターを導入し、ラグジュアリーブランドであるイブ・サンローラン ボーテ(Yves Saint Laurent Beauty)のフレグランス専門チームは、フレグランスにおける新しいコンサルティング体験を開発している。
それはイブ・サンローラン ボーテ店舗に来た顧客が、コンサルティング時に機械学習のアルゴリズムを使用して脳波(EEG)を解釈するマルチセンサーヘッドセットを装備することで、独自の香りのファミリーを体験できるというものだ。
このヘッドセットに搭載されているEEG (electroencephalogram)とは脳波記録のことで、頭皮上の脳波の形状における電気的活動を非侵襲的に計測する。
顧客がマルチセンサーEEGヘッドセットを装着しながらフレグランスのコンサルティングを受けることで、ニューロンの反応を測定し、消費者の行動、好み、ストレス、注意を分析し、感情に最も正確に合った香りを決定することが可能になった。
「テクノロジーを通じて感情と香りを結び付けることで、意思決定プロセスを簡素化しています。この技術革新は、消費者が自分のニーズに最も適したフレグランスを見つけるのに役立ちます。」と、エモーティブのCEOであるタン・リ(Tan Le )氏は声明の中で述べている。
イブ・サンローラン ボーテのインターナショナルゼネラルマネージャーであるステファン・ベジー(Stephan Bezy)氏は「フレグランスの選択肢は何千もあり、この膨大な数の香りのなかから消費者が自分に合ったものを上手に選び出すのはむずかしいということはわかっている。」と述べる。
また、このイマーシブなシステムを通じて、これまでこのデバイスがなかった時よりも遥かに高い、95%の人々にニーズや欲求に合わせてパーソナライズされた適切なフレグランスを提供することが出来たという。
これについてベジー氏は、「このカテゴリーにおける大きな第一歩です。更にどの香りが人々を幸せにしたり、元気づけたり、その他の感情を感じさせたりするかが分かれば、フレグランスをさらにカスタマイズできます。可能性は無限大です。」と述べる。
この体験は、今年後半から2023年にかけて、いくつか国のイブ・サンローラン ボーテの旗艦店で展開され、徐々に世界中で利用出來るようになる予定だ。