9月19日(現地時間)、英国ファッション協議会(British Fashion Counci=BFC)は、キャロライン・ラッシュ(Caroline Rush)が、16年にわたる英国ファッション協議会の最高経営責任者(CEO)としての役割を終え、2025年6月に退任することを発表した。
ラッシュの後任者を選定するプロセスはすでに開始されており、ロンドンに拠点を置くエゴン・ゼンダーが後任選定を主導。ラッシュはその間も組織を引き続き率いる予定だ。
BFCの再構築とラッシュのリーダーシップ
ラッシュは2009年にBFCに加入し、その後の16年間で組織を大きく成長させてきた。ラッシュの在任中、BFCの収益は彼女のリーダーシップの下で倍増し、また、デザイナーの支援に力を注いたことで、世界クラスのプログラムを通じて英国のクリエイティブタレントを育成するための道筋が構築された。
ラッシュはまた、1664ブランがスポンサーを務めるロンドン ファッションウィークを文化的なプラットフォームへと昇華させ、ロンドンを「クリエイティビティの首都」として確固たる位置づけに成功した。彼女の在任中、BFCは1月のロンドン ファッションウィークを廃止し、代わりに6月に開催される「LFW June」としてリブランドを実施。この新しい形式では多様性に重点が置かれ、サヴィル・ロウのテーラーが初めて参加するなど、ロンドンのファッションシーンに新たな文化的瞬間を生み出している。
次世代のタレント支援と持続可能性への取り組み
ラッシュのもう一つの功績は、BFC Foundationの設立である。彼女は、若手デザイナーや学生の育成を目的とした複数の慈善団体を統合し、2020年以降、BFC Foundationを通じて430万ポンド以上の資金を提供し、才能あるデザイナーたちを支援してきた。また、彼女が立ち上げたポジティブファッション研究所(The Institute of Positive Fashion=IPF)は、環境、循環型経済、人材に焦点を当て、業界全体の持続可能な未来を構築するためのイノベーションプログラムを推進している。
2020年にIPFが発表した「循環型ファッションエコシステム」のホワイトペーパーは、循環型経済と脱炭素化を推進するためのツールとして世界中で使用されており、ラッシュの持続可能性に対するビジョンが形となったものである。
新たな挑戦に向けて
ラッシュ自身は、次の9か月間も引き続きBFCを率いる意向を示しており、「パンデミック前のレベルを超えるまで組織のリソースを回復させ、今後もBFCが重要な役割を果たすための準備が整っています」と述べている。彼女はまた、BFCの次なるリーダーシップが業界をさらに発展させる基盤を築くことを確信しており、退任後も組織を支援する姿勢を示している。
BFC会長のデイビッド・ペムセル(David Pemsel)は、ラッシュの業績を称賛し、「キャロラインは素晴らしい業界リーダーであり、過去15年間にわたり英国ファッションを世界的に推進してきた。彼女の在任期間中、業界にとって最も困難な時期にもかかわらず、常にダイナミックかつ機敏に対応してきた。業界を代表して、彼女の仕事、情熱的な支援、そして献身に感謝したい」とコメントした。
ラッシュのリーダーシップの軌跡は、次世代のデザイナーやビジネスリーダーにとっての指針となるであろう。彼女が築いた基盤を引き継ぎ、英国ファッション業界はさらなる成長と変革を遂げることが期待される。