アリババ傘下のラザダ(Lazada)、欧州高級ブランドと提携し2030年までに1000億ドルのEC市場へ

ラザダ

10月10日(現地時間)、アリババグループ(Alibaba Group)傘下のラザダ(Lazada)が、欧州のトップファッションブランドと手を組み、2030年までに1000億ドルのEC取引高を目指していることを米ブルームバーグが報じた。この動きは、アジア市場での競合他社との激しい争いを制し、同社の成長をさらに加速させるための戦略の一環だ。

2012年に設立されたラザダは、東南アジアで急速に成長しているECプラットフォームであり、テクノロジー、物流ネットワーク、決済サービスを通じて、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの6カ国で積極的に事業を拡大している。同社によると、現在の年間のアクティブユーザー数は1億人を突破。2016年には、ラザダがアリババグループの東南アジアにおけるフラッグシップECプラットフォームとなったことで、アリババの最先端テクノロジーの支援を受けるようになった。それ以降アリババは、グローバル戦略の重要な成長エンジンとして、ラザダの競争力強化をアイデア、技術、データでバックアップしている。

ブルームバーグによると、今回ラザダの幹部たちはミラノで、アルマーニ(Armani)、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)、フェラガモ(Ferragamo)、トッズ(Tod’s)といったイタリアの名門ブランド100以上の創業者や経営陣と会談し、東南アジア市場への進出について議論を重ねた。これは、急成長を遂げる東南アジアのオンライン市場で、Sea Ltd.のShopeeやByteDance Ltd.のTikTok、PDD Holdings Inc.といった強豪に対抗するための重要な一手とされている。2025年には、この市場は1860億ドル規模にまで成長すると見込まれており、特にインドネシアやシンガポールを舞台に、TikTokやShopeeが激しい競争を繰り広げている。

ラザダの最高事業責任者ジェイソン・チェン(Jason Chen)はブルームバーグとのインタビューで、「Lazadaは、収益性や商業化、そして長期的な利益を最優先に考えた新たな成長フェーズに突入しています」と述べ、さらに「ラグジュアリーセグメントの拡大は、私たちのブランド力をさらに強化し、これまで以上に大きな成功をもたらすでしょう」と語った。

ラザダとアリエクスプレス(AliExpress)は、中国国外におけるアリババの成長エンジンとして機能しており、特に本国の経済低迷を背景に、海外での成長が顕著だ。ブルームバーグによると、アリババは新たな経営陣のもと、長年にわたる中国当局の規制強化からの回復を図り、アジア市場でのさらなる拡大を目指している。その中でも最大のライバルの一つがSea Ltd.で、8月には同社が小売売上の見通しを引き上げ、市場でのシェアを確実に拡大している兆しを見せている。

チェンは、東南アジアがインドや中東と並んで世界で最も急成長しているラグジュアリー市場の一つであると強調。特に中国経済が停滞する中で、同地域の需要の高まりがアリババにとって重要な意味を持つと述べた。

また、ラザダの優位性についてチェンは、「競合他社とは異なり、ラザダはブランドに対して価格設定やマーケティングにおけるより大きな自由とコントロールを提供しています」と語り、2017年に設立され、現在200ブランド以上を擁するアリババのTmall Luxury Pavilionが、ラザダの成功の一つのモデルとなっていることを強調した。

さらに、「ブランドが私たちのプラットフォーム上に独自のオンラインストアを開設する場合、価格設定から物流に至るまで、すべてのプロセスを自社で管理することが可能です。特にファッションハウスにとって、販売プロセス全体をコントロールすることが極めて重要なのです」とチェンは付け加えた。

ラザダは、成長著しい東南アジア市場でラグジュアリーブランドとの提携をさらに強化し、アジアの競争に打ち勝つための基盤を着実に築き始めている。