シャネル、2026年クルーズショーの詳細を発表
フランスのラグジュアリーブランドのシャネル(Chanel)が、2026年クルーズショーの詳細を発表した。同ブランドは、2025年4月29日に、イタリアの美しいコモ湖を舞台に次のクルーズショーを開催する予定である。具体的な場所についてはまだ公表されていないが、コモ湖はその壮大なヴィラ群と自然美で知られ、ラグジュアリーブランドがイベントを行う場所としても長年にわたり高い評価を受けている場所だ。
最近では、ディオール(Dior)がコモ湖畔のヴィラ・エルバでハイジュエリーコレクションを発表し、ルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villaseñor )はヴィラ・デステの庭園で自身のブランド、ルード(Rhude)のメンズウェアを披露している。
シャネルにとって、クルーズコレクションは単なるランウェイショーではなく、ブランドのグローバルな魅力を伝えるための重要なイベントであり、これまでもニューヨークやヴェネツィア、シンガポール、ドバイなどでその魅力を発信してきた。
ブランド側も、「クルーズショーは、単なる旅の招待を超え、その場所独特のライフスタイルやエネルギーとの特別な出会いの場です」と声明で述べている。
2024/2025年クルーズコレクションへ起きた批判
その一方で、今年シャネルがフランス南部の港湾都市、マルセイユにて発表した2024/2025年クルーズ コレクションには、メゾンの方針に疑問を投げかけた人が多かった。同コレクションは、水中の夢想と太陽の反射を組み合わせた世界を反映し、多様性を重視する若い世代を意識した展開として話題を呼んだ。しかし、その独特のテーマとスタイルが斬新であった一方で、シャネルの象徴的なエレガンスとカジュアルさのバランスが崩れているという声が多く寄せられた。
また、オンラインでの反応が大きく分かれたのは、クルーズコレクションがより多様性を重視したデザインや若い世代向けの要素を前面に押し出したことも背景にある。従来のシャネルファンからは「ブランドの方向性が変わりすぎている」という批判が出る一方、若年層にはあまり強い支持を得られず、このズレこそが、ショーに対する否定的な意見をさらに増幅させた。
加えて、コレクションが発表された舞台も、批判の一因となった可能性がある。建築家ル・コルビュジエ( Le Corbusier)が設計した「ユニテ・ダビタシオン」という集合住宅が選ばれたが、そのコンクリートの無機質な雰囲気とコレクションのテーマとの相性が良くなかったと感じる人が多かった。これにより、会場の選定が不適切だったと指摘されることもあった。
こうした要因が重なり、当時クリエイティブ・ディレクターを務めていたヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)のリーダーシップに対する疑問が生じ、最終的に彼女の辞任に繋がったと言われている。
彼女が離任したことで、シャネルは2026年のクルーズショーをクリエイティブ・ディレクター不在の状態で迎えることになるが、業界全体の注目は今後誰がその後継者として同メゾンのクリエイティブを引き継ぐかに集まっている。