2024年10月23日(現地時間)、フランスのラグジュアリー大手ケリング(Kering)は、第3四半期の売上高が37億8000万ユーロ(約40億8000万ドル)となり、前年同期比で16%減少したことを発表した。世界的な市場の逆風が、同グループの主要ブランドであるグッチ(Gucci)やサンローラン(Saint Laurent)、バレンシアガ(Balenciaga)、アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)に大きな打撃を与え、いずれも二桁減少を余儀なくされている。一方で、ボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)とアイウェア部門は、逆境の中でも成長を続けている。
グッチ、試練の時が続く
ケリングにとって、最大の課題は引き続きグッチである。同ブランドの売上高は16億4100万ユーロと、前年同期比で25%の減少を記録。2023年にクリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)とCEOのマルコ・ビッツァーリ(Marco Bizzarri)が退任し、新たなリーダーシップの下でブランド再建に取り組んでいるものの、回復には依然として時間がかかっている。特に卸売売上は38%減少しており、これはグッチの戦略的な流通チャネルの再編と、厳しい市場環境によるものだ。
サンローランとその他のブランドも同様に苦戦
長年にわたり成長を続けてきたサンローランも、この四半期では冷え込んだ市場に直面しており、売上は12%の減少を見せた。新製品の発売は年内に控えているものの、現在の厳しい市場状況がその成功にどう影響するかが注目されている。
同様に、「その他のハウス」セグメント、バレンシアガやアレキサンダー マックイーンも苦しい状況にある。アレキサンダー マックイーンは新体制下でのコレクションが高評価を得ているものの、セグメント全体では売上が14%減少。さらに、卸売売上が28%減少し、予想を大きく上回る下落となっている。
ボッテガ ヴェネタとアイウェアは健闘
一方、ボッテガ ヴェネタはこの逆風の中で、売上高は3億9700万ユーロで前年同期比5%増加という堅調な結果を出している。北米と西欧での二桁成長がブランドのパフォーマンスを支えており、特にレザーグッズの需要が引き続き高いことが大きな要因となっている。ケリングのアイウェア部門も4%の成長を達成し、グループ全体の業績を下支えしている。
ケリングの会長兼CEOであるフランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)は、ラグジュアリーマーケット全体が逆風にさらされていることを認めながらも、グループの構造改革と長期的な成長を目指した戦略を進めていると強調する。しかし、第3四半期の予想を超える売上減少により、2024年の営業利益は25億ユーロに留まる見通しだ。
コスト削減や投資戦略の選別を続ける一方で、ケリングはハウスの魅力を高めるための取り組みを強化している。しかし、特にアジア市場での低迷や、グッチをはじめとする主要ブランドの停滞を打開するためには、より具体的で効果的な戦略が求められている。