シャネル(Chanel)新時代の幕開け:マチュー・ブレイジーがクリエイティブディレクターに就任

マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)

フランスの名門メゾン、シャネル(Chanel)が新たな時代を迎えた。12月12日(現地時間)、シャネルの新しいクリエイティブディレクターに、マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)の就任が発表され、業界に長く続いた憶測に終止符が打たれた。

元ボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)のクリエイティブディレクターであるマチュー・ブレイジーは、2025年4月にシャネルに正式に加わり、同年10月に初のコレクションを発表する予定だ。また、ブレイジーはオートクチュール、プレタポルテ、アクセサリーコレクション全般を手掛け、シャネル SASの会長兼ファッション部門責任者であるブルーノ・パヴロフスキー(Bruno Pavlovsky)に報告する立場となる。

シャネルは、前任者であるヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)が2023年6月に退任を発表して以来、次なるリーダーを慎重に選定していた。後任として、エディ・スリマン(Hedi Slimane)やジョン・ガリアーノ(John Galliano)、サイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)などの名前が次々に噂される中、ついにブレイジー(Matthieu Blazy)がその座を手にしたのだ。パブロフスキーは、「ブレイジーは、短期間でボッテガ ヴェネタのプロダクトを見事に再活性化させた手腕を持ち、これは彼の真のシグネチャーです」と語り、「彼の到来は、シャネルのダイナミズムに完璧にフィットする」として、最終候補の中から彼が選ばれた理由を明かした。

ブレイジーは声明の中で、「シャネルという素晴らしいハウスに加わることができ、大変光栄で嬉しく思います。全てのチームと出会い、一緒にこの新たな章を作り上げていくのが待ちきれません」と喜びを伝えている。

業界で培った経験と実績

ブレイジーは、ラグジュアリーファッションの最前線でその才能を磨いてきた人物だ。彼のキャリアは、ラフ・シモンズ(Raf Simons)のもとで働いたカルバン クライン(Calvin Klein)や、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が指揮を執っていたセリーヌ(Celine)など、数々の名門ブランドでの経験に裏打ちされている。特に、2021年に就任したボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)では、彼の指揮のもとブランドは2024年第3四半期に5%の収益増を達成し、ケリンググループ内で唯一成長を遂げたブランドとなった。

彼のデザインは洗練され、大人のエレガンスと高いクラフトマンシップに基づいており、さらに、革新的なファッションショーを演出する才能でも注目を集めてきた。中でも、動物形のレザービーンバッグチェアを用いた2025年春夏のショーは、多くの人の記憶に新しいだろう。

新たなシャネルの幕開け

一方で、シャネルは、2023年に前年比16%増となる197億ドルの収益を記録するなど、ブランドとしての地位をさらに確固たるものにしている。その中で、ブレイジーには年間10コレクションを手掛けるという大役が課されている。オートクチュールからプレタポルテまで、彼が描くシャネルの未来像はどのように形作られていくのだろうか。

114年の伝統を持つシャネルに新たな息吹を吹き込むブレイジーの登場は、新時代の幕開けを告げている。期待と責任を背負いながらも、彼のキャリアはそれを十分に支えるだけの実績を持っていると言えるだろう。