英国を代表するファッションブランドのバーバリー(Burberry)が、ディスカウント小売業者B&Mに対し、商標侵害を理由にロンドン高等裁判所で法的措置を開始したことが複数メディアの報道から明らかになった。これは、B&Mが一部の商品をバーバリーのブランドと関連付けて誤認させる可能性があるとして提起されたものだ。
訴訟の中心にあるのは、B&Mが販売している「ファーベリー(furberry)」という名前のペット用品ライン。このラインには、犬用の食器やおもちゃ、ブランケット、マット、ベッドなどが含まれ、ベージュの背景に赤、白、黒のチェック柄が特徴となっている。このデザインは、バーバリーの象徴的なチェック柄に類似しており、ブランドイメージを損なう可能性があると指摘されている。
一方、現時点では、バーバリーとB&Mの双方から具体的なコメントは出されておらず、訴訟が「ファーベリー」製品に直接関連しているかどうかは定かではない。しかし、バーバリーがB&Mの商品が自社ブランドとして誤認される可能性を指摘していることから、これらの製品が問題視されていると考えられる。
B&Mは2023年、破綻した小売業者Wilkoの店舗約50軒を買収し、積極的な拡大戦略を進めてきた。一方で、低価格戦略を武器にした同社のビジネスモデルは、高級ブランドの市場とは対照的であり、今回の法的衝突はそのギャップを浮き彫りにしている。
バーバリー自体も最近の市場環境に苦戦しており、株価の低迷が続いていた。その結果、15年間在籍していたロンドン証券取引所のFTSE 100指数から外れ、現在はFTSE 250指数に位置している。しかし、2024年11月には、経営陣の刷新と戦略の見直しを実施し、現在ブランドは回復基調に向かっているようだ。
今回の訴訟は、ブランド価値の保護と模倣防止を目的としたバーバリーの明確な姿勢を示すものであるが、その一方でB&Mにとっては、低価格戦略とブランドイメージの境界線をどのように引くかが問われるだろう。ラグジュアリーブランドの「本物であることへの本質」と、マス向けブランドの模倣や類似性をめぐる法的な線引きは、その曖昧さからこれまでに数々の類似した訴訟へと発展してきた。