メイシーズ(Macy’s)、「Bold New Chapter」戦略の一環として全米で66店舗の閉鎖を発表

Macy's

1月9日(現地時間)、米百貨店のメイシーズ(Macy’s)は、業績不振の150店舗を2026年までに閉鎖し、持続可能な成長を目指す「Bold New Chapter」戦略の一環として、新たに66店舗の閉鎖を発表した。ニューヨーク市内では、ブルックリンの2店舗(422 Fulton Streetと2027 Emmons Avenue)、クイーンズの1店舗(88-01 Queens Boulevard)、ブロンクスの1店舗(404 East Fordham Road)、スタテンアイランドの1店舗(98 Richmond Hill Road)が対象となり、同市内の旗艦店を除く主要店舗が減少する見込みである。

小売業界の変化に直面するメイシーズ

メイシーズは近年、特に中間価格帯をターゲットにした百貨店の苦境に直面してきた。メイシーズの会長兼CEOであるトニー・スプリング(Tony Spring)は声明で、「店舗を閉鎖することは決して簡単ではありませんが、『Bold New Chapter』戦略の一環として、非生産的な店舗を閉鎖し、リソースを『Go-Forward Stores』に集中させることで、より良い商品提供やサービス向上においてすでに好意的な反応を得ている店舗への投資を優先しています」とコメント。

この『Bold New Chapter』戦略とは、2024年2月に発表されたもので、約150店舗の非生産的な店舗を3年間で閉鎖しつつ、2026年度末までに350の継続店舗(Go-Forward Stores)への投資を強化し、持続可能で利益のある売上成長を実現するというものだ。

実際、同社が投資を進める「First 50 Stores」の売上は3四半期連続で増加しており、顧客満足度も過去最高を記録しているという。こうした成功をもとに、メイシーズは2025年に向けて店舗運営をさらに強化し、全国規模での改善された顧客体験の提供を目指していく意向である。また、継続的な取り組みの一環として、店舗とオンラインの買い物体験を再構築するため、顧客はmacys.com上の「カスタマーFAQ」や「店舗検索ツール」を通じて、ローカルの継続店舗に関する詳細情報に簡単にアクセスできる仕組みも整えられている。

投資家からの圧力と選択的な閉鎖

だが、こうした店舗閉鎖の背景には、投資家からの圧力も関係しているようだ。多くの投資家は、店舗不動産の価値が実店舗そのものより高いとし、全店舗を売却して事業を終了する方が利益につながると主張。このような状況の中、メイシーズはあくまで選択的な閉鎖を行い、高級百貨店の「ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)」や化粧品事業である「ブルーメルキュリー(Bluemercury)」への注力で、裕福層の顧客を取り込む戦略を継続する構えである。

全米規模の店舗閉鎖

なお、現在メイシーズは、24の小型店舗と70以上の百貨店を展開している。今回閉鎖が発表された66店舗には、ディスカウント業態の「メイシーズ バックステージ(Macy’s Backstage)」も含まれ、フロリダ州で8店舗、カリフォルニア州で9店舗、ジョージア州で3店舗、ミシガン州で4店舗、ペンシルベニア州で4店舗、テキサス州で6店舗、ワシントン州で3店舗が対象となる。閉鎖対象店舗の一部ではすでに営業終了しており、その他の店舗では近日中に在庫一掃セールが開始される予定である。

業績不振店舗の閉鎖は厳しい決断であるが、メイシーズは「Bold New Chapter」戦略を通じて、急速に変化する小売業界での競争を乗り越え、長期的な成長に向けた足場を固めているのだ。