ベネトンの挑発的な広告を手がけた写真家、オリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)が82歳で逝去

Oliviero Toscani

1月13日(現地時間)、イタリアのアパレルブランド、ユナイテッド カラーズ オブ ベネトン(United Colors of Benetton)の大胆で挑発的な広告キャンペーンで知られていた写真家のオリビエーロ・トスカーニ(Oliviero Toscani)がイタリア中部トスカーナ州の病院で亡くなった。82歳だった。トスカーニは昨年8月に、難病アミロイドーシスを患い、それによって40キログラムの体重を失ったことを公表していた。

オリビエーロ・トスカーニは、広告の枠を超え、社会問題に焦点を当てた作品で知られる写真家だった。トスカーニが約20年間アートディレクターを務めた、ユナイテッド カラーズ オブ ベネトンの広告キャンペーンは、単なるプロモーションの域を超え、人種差別やエイズ、死刑反対といったセンシティブなテーマに大胆に切り込むものだった。

中でも特に記憶されているのは、エイズ危機の最中に発表された1992年のキャンペーンだ。エイズ患者のデイヴィッド・カービー(David Kirby)が臨終を迎える瞬間を家族に囲まれながら写した写真は、世界中に衝撃を与えた。同様に、修道女と司祭のキスや、人種間の緊張を象徴するようなビジュアル、拒食症を告発するフランス人モデル、イザベル・カロ(Isabelle Caro)を起用した写真など、その作品は常に議論の中心にあった。

さらに、トスカーニは広告の枠にとどまらず、1991年にベネトンと共同でカラーズマガジン(COLORS Magazine)という雑誌を創刊。1994年にはクリエイティブの研究機関であるファブリカ(Fabrica)を設立し、広告やマーケティングの枠を超えた実験的なプロジェクトを推進した。

ベネトン社は、トスカーニの逝去を受けて、以下の声明を発表している。
「あることを説明するためには、言葉だけでは十分でないことがあります。それを教えてくれたのは、あなたです。そして今、その思いを込めて、1989年にあなたが私たちのために撮影してくれた1枚の写真で、あなたに敬意を表したいと思います。さようなら、オリヴィエロ。夢を見続けてください。」

また、「オリヴィエロ・トスカーニ(1942-2025)は、広告が公共の議論に果たす役割を永遠に変えた創造的な力でした」と記し、インスタグラムで、トスカーニが同ブランドのために撮影した最も挑発的で象徴的なキャンペーンの数々を振り返り、彼の功績を称えた。

 

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オリビエーロ・トスカーニのインスタグラムでは、「深い悲しみとともにお知らせいたします。本日、2025年1月13日、私たちの最愛のオリヴィエロが次の旅路へと旅立ちました。この瞬間を家族の静かな時間として過ごしたく、プライバシーとご理解を心よりお願い申し上げます」というメッセージが、家族によって伝えられた。

広告キャンペーンを通じて、社会の痛みや矛盾を浮き彫りにし、多くの人々に行動を促すメッセージを送り続けたトスカーニの功績は、彼の作品と共に永遠に生き続けていくだろう。

 

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