シーイン(Shein)、5年ぶりにインド市場に再上陸へ

SHEIN

中国発ファストファッションブランドのシーイン(Shein)が、インドの大手コングロマリットであるリライアンス リテール(Reliance Retail)との提携を通じ、約5年ぶりにインド市場へ再上陸した。

かつてインドの若者を中心に高い人気を誇ったシーインであったが、2020年にニューデリーと北京の外交関係の悪化を背景に、インド政府の中国アプリ禁止措置により市場から撤退。しかし今回、リライアンスが運営を担う新アプリ「Shein India Fast Fashion」を通じ、再びインドの消費者のもとに戻ってきた。

シーインの再上陸と厳格な規制

今回の再進出は、リライアンスとのライセンス契約のもとで行われ、同社が全面的に運営とデータ管理を担う形となる。インド商工相のピユシュ・ゴヤル(Piyush Goyal)は、「Shein Indiaの運営とデータ管理は完全にリライアンス リテールが掌握し、シーインは技術パートナーとしてのみ関与する」と明言。さらに、「すべての顧客データとアプリの情報はインド国内に保存され、しシーインにはアクセス権がない」と強調した。

この取り決めは、インド政府がこれまで300以上の中国アプリを禁止してきた背景を考慮し、例外的な措置として実施されたものだ。政府関係者によると、この合意には政府認可のサイバーセキュリティ企業による定期的な監査が含まれ、国家安全保障上の懸念を払拭するための厳格な管理体制が敷かれている。

またリライアンスにとっても、今回の提携は従来の戦略とは異なる新たなアプローチである。同社はこれまで、海外ブランドを自社のECプラットフォーム「アジオ(Ajio)」に統合する形で展開してきたが、シーインは独立したアプリとして運営され、リライアンスがその管理を担う。これにより、リライアンスはインド国内のEコマース市場でのプレゼンスをさらに強化できる可能性がある。

今後のインドでの展開は?

シーインは、2020年の市場撤退前、インドのファッション市場で急速にシェアを拡大し、手頃な価格でトレンドアイテムを提供するプラットフォームとして人気を集めていた。今回の復活により、消費者は再びシーインの商品を購入できるようになったが、提供される商品はすべてインド国内のメーカーによってデザイン・製造される。また、現在はニューデリー、ベンガルール、ムンバイなどの都市でのみ配送が行われているが、「近いうちにインド全土に展開する予定」とされている。

この再上陸は、単なるアプリの復活にとどまらず、インド国内の生産・供給ネットワークを活用した新たなビジネスモデルの確立を意味するものだ。インドの繊維・アパレル産業への影響を含め、今後の展開が注目される。

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