タペストリー(Tapestry, Inc.)、スチュアート ワイツマン(Stuart Weitzman)をカラレスへ売却

Stuart Weitzman

2月19日(現地時間)、タペストリー(Tapestry, Inc.)は、同社が展開するラグジュアリーフットウェアブランドのスチュアート ワイツマン(Stuart Weitzman)を、フットウェア業界のリーディングカンパニーであるカラレス(Caleres)に売却する契約を締結したと発表した。売却額は1億500万ドルで、2025年夏の取引完了を予定している。

タペストリーのポートフォリオ戦略と今後の展望

スチュアート ワイツマンは、1986年に設立されたニューヨーク発のラグジュアリーフットウェアブランドであり、洗練されたデザインと機能性を兼ね備えた靴づくりで世界的に高い評価を得ている。特に、ハリウッドセレブやロイヤルファミリーも愛用する「5050」ロングブーツや、エレガントなストラップサンダルで知られており、クラフツマンシップと快適な履き心地を追求するブランド哲学を持つ。最近では、ハンドバッグやメンズシューズの展開も開始し、ブランドのさらなる拡大を図っていた。

タペストリーのCEO、ジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)は、今回の売却について「スチュアート ワイツマンは、卓越したクラフツマンシップと創造性を兼ね備えたブランドであり、過去10年間にわたり私たちのポートフォリオの一翼を担ってきました。しかし、当社の長期的な成長戦略を考えたとき、コーチ(Coach)とケイト スペード(Kate Spade)のさらなる成長に集中することが最も価値創造につながると判断しました」と語った。

同社は、コーチのブランド力を維持しながら、ケイト スペードの再活性化に注力し、持続的なオーガニック成長を推進する方針を明らかにしている。

カラレスのリーダーシップのもとで

一方で、スチュアート ワイツマンの新たなオーナーとなるカラレスのCEO、ジェイ・シュミット(Jay Schmidt)は「スチュアート ワイツマンは、フットウェア業界における象徴的な存在です。このブランドを私たちのポートフォリオに迎えることで、グローバル市場における成長を加速させ、D2C戦略を強化していきます」と述べた。

カラレスは、フェイマス フットウェア(Famous Footwear)、サム エデルマン(Sam Edelman)、アレン エドモンズ(Allen Edmonds)など、多数のブランドを展開する業界の大手であり、スチュアート ワイツマンの高級志向とクラフツマンシップを活かしながら、さらなるブランド価値の向上を目指す。

売却の背景 – ラグジュアリーフットウェア市場の変化

今回の取引は、タペストリーがコアブランドに集中し、より効率的な資本活用を目指す戦略の一環とみられる。同社は当初、マイケル コース(Michael Kors)やヴェルサーチェ(Versace)、ジミー チュウ(Jimmy Choo)を擁するカプリ・ホールディングス(Capri Holdingsを85億ドルで買収する計画を発表し、LVMHやケリング(Kering)といった欧州のラグジュアリーコングロマリットに対抗する戦略を描いていた。

しかし、2023年10月に米連邦取引委員会(FTC)が市場競争を制限するとしてこの買収に異議を唱えたことで計画に不透明感が生じ、2023年11月にタペストリーとカプリ・ホールディングスは双方合意のもとで合併契約を終了する決定を下した。この決定を受け、タペストリーは現在のポートフォリオに集中し、コーチとケイト・スペードの成長戦略に注力する方針を明確にしている。

カラレスの傘下でスチュアート ワイツマンがどのような変革を遂げるのか、引き続き注目したい。

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