韓国通販大手クーパンがファーフェッチを5億ドルで買収|倒産の危機から救う

12月18日(現地時間)、倒産寸前の危機に瀕していたラグジュアリーEコマース・プラットフォームのファーフェッチ(Farfetch)が、韓国の巨大Eコマースサイトのクーパン(Coupang)に、5億ドル(約710億円)で買収されることが伝えられた。

クーパンは、2010年に設立され、「韓国のAmazon」と呼ばれるほど急成長を遂げているEコマース企業だ。同社は、2021年にニューヨーク証券取引所に上場。現在は米国のシアトルに本社を置き、韓国、台湾、シンガポール、インドなどの市場でEコマース事業を展開し、食料品、決済、ビデオストリーミングサービスも提供している。

ロンドンを本拠地とするファーフェッチは、かつてラグジュアリーの業界で圧倒的な存在感を誇り、2018年にはニューヨーク証券取引所に上場。消費者と高級ブランドがこのサイトに集まるにつれてその価値は上昇し、2021年のピーク時には230億ドル以上に達した。

しかし、急騰するコストと負債、相次ぐ高リスクの投資、世界的な高級品市場の減速が同社の株価急落に拍車をかけ、時価総額は約2億ドルにまで急落。同社は、経営破綻の危機にあると報じられていた。

この状況の中で、韓国のクーパンはアメリカの投資会社グリーンオークス・キャピタル・パートナーズ(GREENOAKS CAPITAL PARTNERS)と協力し、5億ドル(約710億円)の資金援助を実施。この取引は来年早々にも完了する見込みであり、ファーフェッチは危うかった倒産を免れ、事業を継続できる事に。なお、ファーフェッチ創業者のホセ・ネヴェス(Jose Neves)は引き続き同社に関わるが、他の取締役は全員辞任する。

一方で、今年8月にファーフェッチはリシュモンが擁するラグジュアリーEコマース・プラットフォーム大手のユークス ネッタポルテ グループ(Yoox net-a-porter group)の株式の47.5%を取得することに合意していたが、今回の買収を受け、リシュモンはこの合意の「破棄」を発表。複雑な取引は失敗に終わった。なお、リシュモンが保有する、ファーフェッチが2008年11月に発行した3億ドル相当の転換社債については、「状況を鑑みれば、償還されないと考えるのが妥当」と伝えられた。