マイク・アシュリー率いるフレイザーズ・グループがマッチズファッションを買収

12月20日(現地時間)、イギリスのハイストリートビジネスで成功を納めているマイク・アシュリー(Mike Ashley)が所有する小売グループ、フレイザーズ・グループ(Frasers Group)は、ラグジュアリーEコマースサイトのマッチズファッション(Matchesfashion)をわずか5200万ポンド(約94億3000万円)で買収する。

このニュースを最初に報じたスカイニュースによると、フレイザーズは、事業買収のオファーを提出したイギリスの小売業者ネクスト(Next)との競争に打ち勝ったと見られている。またこの取引には、マッチズファッションの負債約2,000万ポンドの借り換えも含まれるという。

マッチズファッションはかつて、ラグジュアリーEコマースサイトとして急成長を遂げた。現在も、450以上のブランドを取り扱い、150ヶ国でビジネスを展開している。しかし、2017年にエイパックス・パートナーズ(Apax Partners)に売却して以来、同社は新規顧客の獲得と事業規模の拡大という複雑な課題と収益性のバランスを取るのに苦戦し、年々赤字幅が拡大していた。複数の経営陣の交代、予期せぬパンデミック、そしてホールセール・モデルの構造的な衰退が、さらに拍車をかけ、昨年に現在マッチズファッションの最高経営責任者を務めるニック・ベイトン(Nick Beighton)が着任するまで、苦戦を強いられてきた。

ベイトンは、買収後も同社に留まり、「フレイザーズ・チームと緊密に連携し、事業の基礎体力をうまく構築する一方、シナジー効果を迅速に引き出す戦略を策定します。」と、声明の中でコメント。

フレイザーズのマイケル・マレー(Michael Murray)最高経営責任者は、「この買収は、フレイザーズのラグジュアリー部門を強化し、我々の関係をさらに深め、消費者に世界最高のブランドへのアクセスを提供するという我々の使命を加速させる」と声明で述べ、「世界のラグジュアリー環境は軟調ですが、業界をリードする当社のエコシステムを活用することで、シナジー効果を発揮し、マッチの利益ある成長を促進できると確信しています。」と続けた。

近年、ラグジュリー業界の売り上げは世界的に停滞しており、借入コストの高騰も相まり、この分野の小売業者全体に影響を及ぼしている。

今週月曜日には、ファーフェッチ(Farfetch)が、韓国の大手Eコマース企業であるクーパン(Coupang)に売却することで危機的に破産を免れた。同様に、リシュモンのユークス・ネッタポルテ(Yoox Net-a-Porter)も、ファーフェッチとの赤字部門の合併取引が破綻し、今後の展望が不透明な状態にある、というのが現状だ。