ラグジュアリーECのマッチズファッション(Matches Fashion)、英フレイザーズ買収後に経営破綻へ

英国発ラグジュアリーEコマース・サイトのマッチズファッション(Matches Fashion)は、マイク・アシュリー(Mike Ashley)率いるフレイザーズ・グループ(Frasers Group)に買収されてから約2ヶ月余りで、経営破綻に追い込まれている。

フレイザーズ・グループは、昨年12月に5200万ポンドを投じて、この赤字小売企業を買収し再建を試みてきた。その際に同グループは、マッチズとブランド・パートナーとの関係性を称賛しており、この買収は新オーナーの継続的な高層化戦略の重要な一部とみられていた。

しかし、3月8日(現地時間)、同グループは、「マッチズの買収以来、一貫して事業計画の目標を達成できず、グループからの支援にもかかわらず、重大な損失を出し続けていること」を明らかにした。

フレイザーズ・グループは、「マッチズの経営陣は事業を安定させる方法を見つけようとしてきたが、事業の再構築にはあまりに大きな変化が必要であり、継続的な資金需要はグループが実行可能と考える金額をはるかに超えることが明らかになった。これを踏まえ、フレイザーズは、マッチズの取締役がマッチズグループを管財人の手に委ねる決定を下したことを知らされた。フレイザーズは高級品市場とそのブランド・パートナーに引き続き全力を尽くします」とコメント。

ラグジュアリーグッズや、デザイナーズブランドの商品を販売しているマッチズは、30年以上前に、トムとルースのチャップマン(Chapman)夫妻がロンドン南西部のウィンブルドンに実店舗として創業した。それから店舗を拡大したが、ある時点から海外販売をターゲットとしたEコマースサイトに重点を移行。2017年に、チャップマン夫妻はプライベート・エクイティ・グループのエイパックス・パートナーズ(Apax Partners)に事業の株式の過半数を売却し、その後エイパックス・パートナーズはフレイザーズ・グループに事業を売却した。

現在マッチズは、メイフェアに旗艦店を構え、ロンドンにパーソナル・スタイリング・アドバイスを提供する2つの拠点も持っている。一方で、同社の事業の主な利益となっているのは、実店舗ではなく、176カ国に向けた海外へのオンライン販売である。

内部関係者からの情報によると、マッチズはここ数週間、サプライヤーに値引きを要求していたようだ。

小売分析会社サヴィー(Savvy)のキャサリン・シャトルワース(Catherine Shuttleworth)最高経営責任者は、「マッチズの問題は、フレイザーズが最初に考えていたよりも重大だったようだ。」と述べ、「消費マインドは依然として脆弱で、高級衣料品の買い物客でさえ購買行動を変えつつある。私たちは、74%の買い物客が洋服の購入数を減らしていることを知っています」とコメントした。

内部関係者は、最も可能性の高い最終結果は、フレイザーズが倒産前の取引を通じて事業の支配権を保持することを目指すことであると示唆したが、それが継続されるかどうかは現時点では分からない。マッチズを統括している元ASOSのチーフ、ニック・ベイトンは、CEOが交代し業績が低迷していた同社の業績を安定させた人物であるが、現時点で彼の今後がどうなるかも不明である。

近年は、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを取り扱うEコマースサイトの売り上げ低迷が顕著であり、昨年にはファーフェッチ(Farfetch)も韓国のクーパン(Coupang)に買収されている。その後、ファーフェッチ創業者のジョゼ・ネヴェス(José Neves)は退任を発表。同様に、ユークス・ネット・ア・ポルテ(Yoox Net-A-Porter)もこの数年で経営難に直面しており、ラグジュアリーEコマース全盛期が終わりへと向かっている。

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