米国高級百貨店の一つとして知られるニーマン・マーカス(Neiman Marcus)のダラス旗艦店が、2025年3月31日をもって閉店することが決定した。 この旗艦店は111年にも渡る長い歴史を持ち、ルネッサンス・リバイバル様式の9階建てのビル内に位置する。
サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)の親会社であるサックス・グローバル(Saks Global)は、2024年12月に26億5000万ドルでニーマン・マーカスを買収したばかりだったが、今回の決定は「私たちの制御を超えた事情によるもの」と説明している。
旗艦店閉店の背景
サックス・グローバルのマーク・メトリック(Marc Metrick)CEOは社内メモで、今回の閉店はニーマン・マーカス買収とは無関係であり、また業績の問題でもないことを強調した。一方、閉店の理由として、ビルの一部の土地所有権をめぐる地主との交渉が難航したことが大きな要因であると報じられている。
関係者によると、問題となったのは店舗の下りエスカレーターが位置する2,500平方フィートの土地であり、その所有者であるスローター・パートナーズLP(Slaughter Partners LP)との契約上の問題が解決できなかったことにあるようだ。
また、サックス・グローバルはこの閉店による影響を最小限に抑えるため、近隣のノースパークセンターにあるニーマン・マーカス店舗に1億ドルを投じて改装する計画を発表。影響を受ける従業員には、異動の機会や退職パッケージが提供される。
サックス・グローバルの戦略的な事業縮小と財務調整
なお、今回の閉店は、サックス・グローバルのダラスにおける事業縮小の一環と考えられる。現在、ニーマン・マーカスのダラス本社オフィス(CityPlace Tower)も閉鎖が決定されており、その契約をめぐりオーナーのネックスポイント(NexPoint)との対立が生じていることも伝えられている。
さらに、サックス・グローバルは2025年7月から取引先への未払い金の分割払いを開始し、新規注文の支払い条件を従来の60日から90日に延長すると発表している。こうした財務戦略の変更は、高級ブランド業界全体の市場環境の変化や、サックス・グローバルの経営戦略の転換を示唆するものだ。
ニーマン・マーカスは1907年にダラスで創業され、1914年に現在の旗艦店がオープンした。同店舗は、単なる小売店ではなくダラスの文化的シンボルとしての役割を果たしてきた。これまで多くの著名人やファッション関係者が訪れ、高級百貨店としての地位を確立してきたが、今回の閉店によりその長い歴史に一区切りがつくこととなる。
また、サックス・グローバルの経営陣はニーマン・マーカスやサックス・フィフス・アベニューの一部店舗閉鎖を検討しているとの報道もあり、今後も業界再編が続く可能性がある。
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