繊細で洗練されたデザインの中に、深いストーリーが宿るジュエリーブランド、アトリエ シメオン(Atelier Siméon)。同ブランドのジュエリーは、単なるアクセサリーではなく、身につける人の願いや想いを映し出す「シンボル」として、多くの人に愛されている。
本記事では、ブランドの創設者でありデザイナーのマリオン・ゴード(Marion Gaude)に、アトリエ シメオンの誕生秘話、ジュエリーに込めた想い、そしてブランドの未来について話を聞いた。
祖父から受け継いだ、ものづくりへの情熱
マリオン が、アトリエ シメオンを立ち上げたのは、2020年のことだった。パンデミックの影響で最初のビジネスを閉鎖せざるを得なくなった彼女は、幼少期から大好きだったビーズ細工を再び始めることで、心の拠り所を見つけたという。
「ジュエリー作りは、私にとって個人的な癒しの場でした。けれど、次第にそれは単なる趣味を超え、もっと大きなものへと成長していったのです」と、マリオンは当時を振り返る。
それから2年後の2022年、彼女はジュエリーへの想いを形にする決意を固め、アトリエ シメオンをブランドとして本格的にスタートさせた。ブランド名の「シメオン(Siméon)」には、彼女が幼い頃から慕っていた祖父の名前が込められている。ギリシャの金属職人だった祖父は、ジュエリーとは異なる分野の職人だったが、その仕事に対する深い愛情や誠実な姿勢が、彼女の創作活動にも大きな影響を与えたのだという。
「私はこのブランドに「魂」を込めたいと思いました。そして、ブランド名を、私をいつも見守ってくれていると信じている亡き祖父シメオン(Siméon)にちなんで名付けました。彼はギリシャ出身の金属職人で、彼の仕事はジュエリーとは異なるものでしたが、その仕事への深い愛情、忍耐、誠実さは私に大きな影響を与えました。幼い頃、祖父のアトリエで過ごすのが大好きで、道具で遊んだり、彼の静かな献身を感じ取ったりしていました。」

石が持つエネルギーと、ジュエリーという表現
アトリエ シメオンのジュエリーの中心にあるのは、「石」の存在だ。マリオンは、インド・ジャイプールに足を運び、一つひとつの石を自らの目で厳選している。
「この街は私の創造性を大きく育んでくれました。天然石の美しさ、鮮やかな色彩、不完全な形状、そして職人技の伝統に常にインスピレーションを受けています。見つけた石はそれぞれにエネルギーとメッセージを持つ宝物のような存在です。私はただジュエリーをデザインするのではなく、その石と、それを身に着ける人の個性を称えるシンボルを創り出しているのです。」
一つひとつの石には、物語がある。そしてその石が手に渡るとき、持ち主の人生の一部となり、新たな旅が始まるのだ。
願いを込める儀式「インテンション・リチュアル」
アトリエ シメオンのジュエリーは、単なる装飾品ではなく、人生に寄り添う存在だ。マリオンは、そのジュエリーをより特別なものにするため、「インテンション・リチュアル(意図の儀式)」という独自のプロセスを提案している。
それは、ジュエリーを初めて身に着ける前や、再び着ける際に「自分の願いや目標を意識する時間を持つ」というものだ。
「このリチュアルは、もともと私自身のために作ったものです。自分のジュエリーを身に着けるとき、単に見た目を楽しむだけでなく、石とエネルギー的に繋がる感覚がありました。私はこの石を尊重し、その存在に意識を向けたいと思いました。最初は個人的な習慣として続けていましたが、アトリエ シメオンを「スピリチュアルなジュエリーブランド」として位置づけることに少し抵抗がありました。しかし、顧客たちもまた、石と深く共鳴していることに気づき、このリチュアルを共有するのが自然な流れだと感じたのです。」
このプロセスは非常にシンプルでありながらも深い意味を持つ。ジュエリーを初めて身に着ける前(または再び身に着けるとき)、ほんの少しの時間をとって、自分の意図を設定するのだ。
「ジュエリーを初めて身に着ける前(あるいは再び身に着けるとき)、短い時間をとって意図を設定するのです。夢、願い、変化を思い描き、石がその象徴となるようにする。石を見るたびに、その意図を思い出せるような、小さくても力強い結びつきを作るのが目的です」とマリオンは話す。
この「インテンション・リチュアル」は、やがて顧客たちの間でも広がり、多くの人がこのリチュアルを実践することで、自分の夢を叶えたり、人生に対する見方が変わったりするなどの変化を体験しているという。
また、ブランドのリチュアルカードには、彼女が大切にしているこんな言葉が記されている。
“The day you plant the seed is not the day you eat the fruit.”
(種を蒔いたその日が、果実を得る日ではない。)
「この言葉は、自分自身とそのプロセスに忍耐強くあることを思い出させてくれます。そして、このメッセージを受け取った人は、みな笑顔になります」とマリオンは続けた。

シンプルなデザインが生み出す変革の力
アトリエ シメオンのジュエリーは、その繊細で華奢なデザインが特徴的だ。これは、デザイナーであるマリオンがフランス人デザイナーとして自然に好むスタイルであり、日常の装いに馴染む軽やかさと、重ね付けのしやすさを兼ね備えている。しかし、そのシンプルなデザインの奥には、持ち主の想いと深く結びつく「秘密のシンボル」としての役割が隠されている。
「フランスのデザイナーとして、私は繊細で華奢なジュエリーを好みます。それは日常的に重ね付けしやすく、自然に溶け込むもの。しかし、単なる見た目以上の意味があります。そのジュエリーは、持ち主にとっての「秘密のシンボル」となり、設定した意図と深く結びつきます。石がその意味を持ちますが、それを知るのは身に着けた本人だけ。その静かな絆こそが、本当の変革を生むのです。」
ジュエリーを身に着けることは、単なるファッションではなく、自己の意識を高める行為。マリオンは、それこそがアトリエ シメオンのジュエリーが持つ「変革を促す力」だと考えている。
「変革は「気づき」から始まると私は考えています。それは、誰かが自分の石を見つけた瞬間に起こるものです。そのため、私はデザインを極力シンプルにし、石の美しさが際立つようにしています。」
素材へのこだわりと職人技
アトリエ シメオンのジュエリーは、デザインだけでなく、素材選びや職人技にも強いこだわりがある。マリオンは、天然石が持つエネルギーを最大限に活かすための特別な工程を取り入れている。その一例が、「石を一つひとつパロサント(聖なる木の煙)で浄化してから、新しい持ち主のもとへ届ける」というプロセスだ。
「この工程によって、取り扱い中に石が吸収したかもしれない滞ったエネルギーをクリアにし、純粋な状態に整えます。さらに、顧客にも定期的に石を浄化し、エネルギーをリセットするよう勧めています。」
石のエネルギーは、目には見えなくとも、時計のクォーツやスマートフォンに使用されるクリスタルのように、私たちの日常に密接に関わっている。その振動がもたらす力を信じるマリオンは、ジュエリーに宿るエネルギーの純度を保つことに細心の注意を払っているのだ。
また、アトリエ シメオンのジュエリーは、インドの熟練した職人たちと密接に協力しながら生み出されている。伝統的な技術を大切にしながらも、マリオンが求める洗練されたデザインと、石本来の美しさを引き立てるバランスを実現するため、細部に至るまで丁寧に仕上げられている。

アトリエ シメオンの未来:天然石が紡ぐ新たな旅路
アトリエ シメオンには、ブランドの本質を象徴する常設コレクションがある。しかし、マリオンの創作プロセスは決して型にはまらず、常に新たな発見やインスピレーションを原動力に進化し続けている。彼女は、毎シーズン、新たに見つけた石との出会いからデザインを生み出し、ファッション業界の厳格なスケジュールに縛られることなく、直感に従いながら一つひとつの作品を丁寧に仕上げていく。
2025年4月には、新たに約15点のジュエリーが発表予定だ。フルコレクションとしてではなく、厳選されたアイテムのみをリリースする形をとる。マリオンにとって、単にコレクションの数を増やすことよりも、素材とデザインの調和を極限まで高め、ジュエリーが本来持つエネルギーを最大限に引き出すことが最も重要なのだ。
ブランドの未来も、さらなる広がりを見せている。アトリエ シメオンは、日本、韓国、アメリカ、イギリス、UAE、東欧市場への進出を視野に入れ、より多くの人々にその哲学を届けようとしている。
その第一歩として、2024年3月18日〜19日に開催される『トラノイ 東京(Tranoï Tokyo)』 への出展が決定。また、2025年4月には表参道にオープン予定の新たなジュエリーセレクトショップ 「The Each Shop」 にも選ばれた。
アトリエ シメオンの歩みは、まるで天然石が長い年月をかけて形を成すように、ゆっくりと、しかし確実に進んでいる。
「種はすでに蒔かれた。どのような花が咲くのか——それは、これからの時間が教えてくれる。」
マリオンのその言葉の通り、アトリエ シメオンのジュエリーは、持ち主とともに時間をかけて輝きを増し、新たな物語を紡いでいくのだろう。
【アトリエ シメオン(Atelier Siméon)】
公式ウェブサイト:https://atelier-simeon.com/
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※本記事はAtelier Siméonとの共同制作によるスポンサード記事です。
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