ミュウミュウ(Miu Miu)、「Tales & Tellers」をニューヨークで開催 ─ ファッションと映画、アートが交差する空間体験

Miu Miu Tales & Tellers

ミュウミュウ(Miu Miu)は、2025年5月10日・11日の2日間にわたり、ニューヨーク・マンハッタンのターミナル・ウェアハウス(Terminal Warehouse)にて、同ブランドの多分野横断型プロジェクト「テイルズ・アンド・テラーズ(Tales & Tellers)」を開催する。

本プロジェクトは、2024年10月にパリで初披露されたインスタレーションの第2弾であり、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)の構想のもと誕生した。ブランドがこれまで展開してきた短編映画シリーズ「Miu Miu Women’s Tales」や、2022年春夏から2025年春夏までのランウェイショーにおけるアーティスティックな演出を起点に、女性クリエイターの視点を通じて“物語ること”の力を芸術表現として昇華する試みである。

演出を手がけるのは、ロンドンを拠点に活動するポーランド出身のアーティスト、ゴーシャ・マクガ(Goshka Macuga)。キュレーションは、バルセロナ現代美術館(MACBA)館長のエルビラ・ディアンガニ・オセ(Elvira Dyangani Ose)が担当し、空間全体のインスタレーションデザインはOMA / AMOが手がける。

今回のニューヨーク公演では、ミュウミュウのクリエイティブアーカイブに収められたショーや短編映画に登場するキャラクターたちを俳優が再演。映像投影とライブパフォーマンスを組み合わせ、声と身体、空間によって構築される重層的なナラティブが展開される。演出と演技の交差により、観客はそれぞれの「語り」を視覚的かつ身体的に体験することができる。

Miu Miu Tales & Tellers
Courtesy of Miu Miu

パリでの初演では、会場のパレ・ディエナが「公共の広場」として機能する構成が採られたが、ニューヨーク版では「夜の都市」が主題に据えられた。暗がりに包まれた都市のストリートを思わせる幻想的な空間が構築され、現実と非現実の境界を揺さぶりながら、空間そのものの意味や公共性、親密さ、そしてアイデンティティを問い直す構成である。

また、会場内ではこれまでに発表された29本の「Women’s Tales」シリーズ全編も上映される。映画、ファッション、パフォーマンスが有機的に結びついた同イベントは、ミュウミュウの創造的アーカイブを再訪しながら、女性性をめぐる多様な視点を鮮やかに浮かび上がらせる。それは、物語と語り手、そして空間をめぐる対話であり、来場者に深く問いかける実験的かつ詩的な体験だろう。

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