バルマンのオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)、FIT美術館主催の「Couture Council Award」受賞へ

Olivier Rousteing

6月9日(現地時間)、ニューヨーク州立ファッション工科大学付属博物館(The Museum at FIT)のクチュール・カウンシルは、2025年の「アーティストリー・オブ・ファッション賞(Couture Council Award for Artistry of Fashion)」を、バルマン(Balmain)のクリエイティブ・ディレクターであるオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)に授与すると発表した。授賞式は、2025年9月3日(水)にニューヨークのリンカーンセンター、デヴィッド・H・コッホ劇場で開催される恒例のランチョンイベント内で行われる。

これまで同賞は、2024年のサイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)、2022年のマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)、2010年のカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)ら、時代を象徴するデザイナーたちに授与されてきた。ルスタンの受賞は、次世代を担うファッションの表現者としての実績と存在感を、改めて世界に印象づけるものとなる。

“物語るファッション”を体現し続けた14年の軌跡

2011年、25歳という若さでバルマンの指揮を任されたルスタンは、伝統と革新のあいだを自在に行き来しながら、メゾンのアーカイブを再解釈し、職人技と現代的な視座を融合させてきた。シャープなシルエット、包括性への深いまなざし、そして変化し続けるパリの都市文化を纏った彼のクリエーション。その軌跡は、単なる美意識の刷新にとどまらず、バルマンが掲げる新たなフレンチ・スタイルの確立へとつながっている。

「スタイルとは服そのものではなく、自己表現の芸術であり、私たちが共有する物語なのです」と語るルスタンの姿勢には、ファッションを通じて時代と対話するクリエイターとしての明確な哲学が宿っている。

さらに、ルスタンの美学は、単なるヴィジュアル的インパクトにとどまらない。ジェンダーや人種、体型といったあらゆる境界線を軽やかに越え、誰もが主役となり得るスタイルを実現してきた。彼が築いたバルマン・アーミーは、まさにその象徴である。

ファッション工科大学付属博物館のヴァレリー・スティール(Valerie Steele)は、「オリヴィエの力強く美しいファッションは、当館の主要な展示、たとえば『Paris, Capital of Fashion』(2019年)、『Africa’s Fashion Diaspora』(2023年)、そして今後開催される『Dress, Dreams, and Desire』(2025年)などで取り上げられてきました」と述べ、「彼は非常に才能にあふれたデザイナーであると同時に、思慮深く誠実な人物でもあります。私は彼に深い敬意を抱いています」と続けた。

また、FIT学長のジョイス・F・ブラウンも、「オリヴィエの歩みは、先見性ある若手デザイナーとして学生たちに大きな刺激を与えています。そして、バルマンにおける14年間で築き上げた多様で包括的な顧客層は、まさに彼の功績といえるでしょう」と称賛した。

なお、今回の授賞式は、ニューヨーク・ファッションウィークの幕開けを飾る公式イベントの一つとして位置づけられており、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)がプレゼンティングスポンサーを務める。FIT理事でもある同社チーフマーチャントのデニス・マギッド(Denise Magid)は、「革新と創造性を体現するルスタン、そしてバルマンというメゾンにこの賞が授与されることを、心から誇りに思います」とコメントしている。

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