ルルレモン(Lululemon)、コーポレート職150人を削減─ 在庫圧迫と関税の逆風に直面

Lululemon

アスレジャー市場の先駆者であるルルレモン・アスレティカ(Lululemon Athletica Inc.)が、約150人のコーポレート社員のレイオフを実施する方針を発表した。対象となるのは、同社のストア・サポート・センターに所属するスタッフだ。

この決定は組織体制の再編を目的としたものであり、広報担当者は「最近の見直しを受け、我々はより機動的に運営し、成長にさらなる投資を行うために組織構造の一部を進化させる決断を下しました。この決定は軽視できるものではなく、我々はこの移行期間において従業員を誠実にサポートしていきます」とコメントしている。

今回の人員削減は、北米を中心に業績の伸び悩みが続くなか、構造的課題への対応として位置づけられる。米投資銀行ニーダム(Needham)のアナリスト、トム・ニキック(Tom Nikic)は「アメリカ大陸での業績は鈍化しており、国際部門の既存店売上成長も第1四半期には大きく減速した」と指摘。

さらに、過剰在庫も収益構造に圧力をかけている。グローバル投資銀行ジェフリーズ(Jefferies)のリサーチノートにて、リードアナリストであるランダル・コニック(Randal Konik)は、「ルルレモンの米国売上は減少を続ける一方で在庫は増加し続けています」と述べ、「コロナ禍を除けば過去10年で最大の在庫と売上の乖離が生じており、過去最高水準にある利益率に対して大きなリスクを生んでいるのです」と警鐘を鳴らした。

同氏はさらに、商品の多様化戦略がかえってコア顧客の離反を招いている可能性にも触れ、「経営陣は商品の新規性を強調していますが、多くの新作がすぐにセール棚に並んでおり、広く顧客の共感を得ていないことが分かっています」と分析する。

こうした状況に加え、米国の新たな関税政策も利益構造を直撃しているようだ。同社はコスト増を吸収するため、一部商品の戦略的値上げを実施する予定であり、CFOのメーガン・フランク(Meghan Frank)は「価格上昇は控えめであり、対象も一部製品に限られます」と説明している。

同社は2025年度の1株当たり利益(EPS)見通しを、従来の14.95〜15.15ドルから、14.58〜14.78ドルへと下方修正した。第1四半期の決算発表以降、株価はおよそ29%も下落しており、投資家心理にも影を落としている。

ルルレモンのカルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)CEOは「すでに米国内では来店客数の減少が見られています」と述べており、今後の回復には、商品戦略、流通構造、ブランドポジショニングの見直しを含めた包括的な再構築が求められる局面にある。

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