7月11日(現地時間)、ニューヨーク発の高級ジュエリーメゾン、ティファニー(Tiffany & Co.)が、アジア最大規模となる新旗艦店「ティファニー 銀座」を東京の銀座6丁目にオープンした。2023年に生まれ変わったニューヨーク五番街の本店「ザ・ランドマーク」の最新コンセプトを踏襲しつつ、日本独自の美意識やアートを融合させた同店は、リテールとしての役割を超え、文化と感性が交差する“体験型空間”として新設された。
青木淳が手がけた革新的建築、藤村喜美子とのコラボも
建築を手がけたのは、日本を代表する建築家・青木淳。高さ66メートルのティファニーブルーに染まるガラスファサードは、銀座の街並みにひときわ鮮やかな存在感を放ち、ルイス・コンフォート・ティファニーによる伝説的な「藤のランプ」から着想を得た有機的なデザインが、自然とクラフツマンシップの調和を象徴する。
外観のショーウィンドウでは、アーティスト藤村喜美子とのコラボレーションによるインスタレーションが展開されており、自然の美しさを抽象的かつコンテンポラリーに表現。ジュエリーとアートの境界を曖昧にする、没入型のビジュアル体験が実現されている。

内装はピーター・マリノ、日本と世界のアートが共存
インテリアデザインは、ラグジュアリー空間の巨匠として名高いピーター・マリノ(Peter Marino)が担当。日本文化とティファニーの世界観を融合させた空間には、ススム・カミジョウといった日本人アーティストの作品に加え、ダミアン・ハースト(Damien Hirst)、ミケランジェロ・ピストレット(Michelangelo Pistoletto)ら世界的アーティストのアートを含む50点以上の作品が展示されている。
また、ブランド約200年の歴史と日本との結びつきを物語るアーカイブピース65点も特別展示され、その約半数が日本初公開という貴重な内容となっている。

館内構成:ティファニーの美学と日本文化の融合
館内は地下1階から地上4階まで、ティファニーのクラフトマンシップと日本文化へのオマージュを凝縮した空間で構成されている。
1階「ワールド・オブ・ティファニー」では、ブランドの象徴であるダイヤモンドジュエリーが並び、イタリア人アーティスト、ミケランジェロ・ピストレットによるブルーとミラーを用いたアート作品が来場者を迎える。天井にはダイヤモンドをモチーフにしたインスタレーションが煌めき、1階から3階へと続く階段の壁面には、二の丸庭園の自然を再現したデジタルパネルが映し出されている。
地下1階の「ゴールド&ダイヤモンド・アイコンズ」では、和紙による折り紙の天井装飾が印象的な空間。ダミアン・ハーストのアートがエレベーターホールから視界に入り、VIC顧客向けのプライベートサロンでは、ラグジュアリーの本質に触れる静謐なひとときを演出する。
2階「レジェンダリー・アイコンズ&デザイナーズ」では、「ティファニー ロック」や「ハードウェア」など、モダンを象徴するコレクションが展開される。ティファニーが支援する「金沢縁付金箔製造」による円形の装飾が空間に静かな華やかさを添え、隣接する「ウォッチ ギャラリー」では、ブランドの時計製造の歴史と技術を体感できる。
3階「ラブ&エンゲージメント」は、ブライダルリングやハイジュエリーが主役のロマンティックな空間。阿部幸子と佐々木元によるアルミ箔のインスタレーションが天井を彩り、愛をテーマにした世界観を演出している。また、VICルームに隣接する「ジャン・シュランバージェ」のショーケースでは、幻想的なデザインが存在感を放ち、ブランドの創造性と伝統を象徴する空間となっている。
4階「ホーム&アクセサリーズ」では、ティファニーの洗練されたホームコレクションが展開され、ライフスタイル提案の場となっている。8月には庄司夏子シェフ監修による「ブルー ボックス カフェ(Blue Box Café)」がオープン予定で、食を通してブランドの世界観を体験できる新たな銀座の名所として注目を集めている。

オープン記念の限定商品も登場
この記念すべきオープンに際し、ティファニーの美学を凝縮した4つの限定コレクションも登場した。まず、ローズゴールドに一粒のダイヤモンドが繊細に輝く「ティファニー ロック」ペンダントは、ミニマルで洗練された美しさを湛えた一品。そして、ジャン・シュランバージェによる名作「16ストーン バイ ティファニー」は、希少なイエローダイヤモンドをあしらい、タイムレスなデザインに新たな輝きを加えている。
さらに、伝説の「ザ ティファニー ダイヤモンド」からインスピレーションを得た「カラット 128」アクアマリン ウォッチは、透明感あふれるブルーが手元を優雅に彩る。そして、ティファニーの象徴的なモチーフを文字盤に表現した「バード オン ア フライング トゥールビヨン」ウォッチは、精緻な複雑機構と芸術性が融合した、まさに一点物のような存在感を放つ。
ティファニーは、1972年の日本初上陸以来53年にわたり、クラフト、アート、建築への深い敬意とともに、日本との間に豊かな絆を築いてきた。「ティファニー 銀座」は、その歩みと精神を結晶させた空間であり、両者の歴史を体現すると同時に、次代のラグジュアリーを切り拓く象徴的な存在となるだろう。
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