グリーンウォッシング問題で、イタリアがシーイン(Shein)に100万ユーロの罰金を科す

Shein

8月4日(現地時間)、中国発のウルトラ・ファストファッションブランド「シーイン(Shein)」が、環境配慮を装った誤解を招く広告表示、いわゆる“グリーンウォッシング”により、イタリアで100万ユーロ(約1億6,000万円)の罰金を科されたことが明らかになった。

制裁を科したのは、イタリアの競争監督機関であるイタリア競争・市場保障庁(AGCM)。対象となったのは、シーインの欧州向けウェブサイトを運営するアイルランド・ダブリン拠点の企業、インフィニット・スタイルズ・サービス(Infinite Styles Services Co. Ltd.)である。

AGCMによれば、同社は「#SHEINTHEKNOW」や「evoluSHEIN」、「Social Responsibility」などのオンラインページを通じて、「環境に関する主張を発信していたが、それらの一部は曖昧で一般的、または過剰に強調されており、別の部分では誤解を招く、あるいは重要な情報を欠いた内容であった」としている。

特に問題視されたのは、製品のリサイクル可能性や、廃棄物削減のための「循環型システム」に関する説明だ。AGCMはこれらの主張について、「虚偽、あるいは少なくとも混乱を招くものであった」と指摘している。

さらに、シーインが掲げている気候変動対策にも疑義が呈された。具体的には、「2030年までに温室効果ガス排出量を25%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する」という目標について、AGCMは「曖昧かつ一般的で、2023年および2024年の排出量の実際の増加と矛盾している」と述べている。

この件について、シーインはAFPに対して「当局の調査に全面的に協力し、指摘を受けて即座に対応した」と述べたうえで、「すべての環境主張は現在、明確で具体的かつ法規制に準拠している」とコメントしている。

一方で、シーインに対する規制の動きはイタリアだけにとどまらない。フランスでも2025年7月、競争・消費・詐欺防止総局(DGCCRF)が「価格割引の実態」および「環境主張の信憑性」に関する調査を実施し、シーインに対して4,000万ユーロ(約68億円)の罰金を科している。

フランス当局の調査では、シーインが「価格の割引実績および環境に関する主張の範囲について、消費者に対して誤解を招く商業手法を用いていた」と結論付けられた。これに対してシーインは、罰金を受け入れ、すでに是正措置を講じたと発表している。

このように、グローバルに拡大を続けるファストファッション企業に対する各国の監視は強まっており、欧州委員会も現在、デジタルサービス法(DSA)および消費者保護法に基づくシーインへの調査を進めている。

シーインは、急成長する一方で、その環境負荷や労働環境に関してたびたび批判を受けてきた。特に、中国・新疆ウイグル自治区の綿を使用している疑いについては、米国政府および複数のNGOから人権侵害の指摘がなされており、これに対し同社は「米国向け製品には中国産コットンを使用しない」方針を明言。強制労働を禁止するサプライヤー行動規範を世界中に適用していると表明した。

またシーインは、2023年末に米国でIPO申請を行ったが、中国証券監督管理委員会(CSRC)からの承認を得られず断念。その後、英国ロンドンでの上場も目指したが、こちらもCSRCの許可が下りず、計画は実現しなかった。現在は、香港証券取引所への新規株式公開(IPO)に向け、非公開でドラフト目論見書を提出する準備を進めていると、報じられている。

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