エッセンス(Ssense)、破産保護を申請へー関税と債権者の売却圧力が背景に

SSENSE

8月28日(現地時間)、カナダ発のラグジュアリーEコマースサイト「エッセンス(Ssense)」が、債権者による売却圧力を回避するため、破産保護の一形態である「CCAA(Companies’ Creditors Arrangement Act)」の申請を行うことが明らかになった。このニュースは、Business of Fashion (BoF) が最初に報じた。

モントリオールを拠点とする同社は、木曜日に従業員へ送ったメモの中で、債権者がCCAAの枠組みを利用して同社を売却しようとしていると説明。これに対し、最高経営責任者のラミ・アタラ(Rami Atallah)は「当社を守り、資産と事業のコントロールを維持し、未来を切り開くため、24時間以内に自らCCAA申請を行います」と表明した。

さらにアタラは、「我々は金融および法務アドバイザーと連携し、事業を安定化させ将来へ再構築する独自の再編計画を策定しました。最終的にどの道を選ぶかは裁判所が判断することになります」と語り、今後1週間以内に方向性が決定される見通しを示した。

なお、今回の破産保護申請の背景には、米国の通商政策があるようだ。トランプ政権下で導入されたカナダからの輸入品に対する25%関税に加え、800ドル未満の小包を免税で米国に持ち込める「デミニマス(de minimis)」免除が撤廃されることが、エッセンスにとって「不意打ち」であり、申請に直結したという。デミニマスの変更は今週金曜日に発効予定だ。

一方でアタラは、当面は給与や福利厚生を含めた通常業務を継続する方針を明言。「ルールが変わったいまこそ、集中と献身が必要です」と強調した。

ラグジュアリーEコマースの苦境が鮮明に

近年、ラグジュアリー市場全体の減退を背景に、ハイエンドブランドを扱うEコマース各社は相次いで経営難に直面している。

2023年には経営難のファーフェッチ(Farfetch)が韓国のクーパン(Coupang)によって買収され、その後ファーフェッチ創業者のジョゼ・ネヴェス(José Neves)が退任を発表。また、英国発ラグジュアリー・Eコマースサイトのマッチズ・ファッション(Matches Fashion)も経営破綻の末、2024年6月にサイトを永久に閉鎖した。

さらに、リシュモン(Richemont)傘下にあったユークス ネッタポルテ(Yoox Net-A-Porter)も長らく経営不振に苦しみ、今年4月にドイツのミュンヘン発のラグジュアリーEコマース企業である「マイテレサ(Mytheresa)」に買収されている。

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