米ラグジュアリーECの「フォーワード(FWRD)」、ロージー・ハンティントン=ホワイトリーをファッションディレクターに任命

Rosie Huntington-Whiteley

12月8日(現地時間)、カリフォルニアを拠点とするラグジュアリーファッションリテーラー「フォーワード(FWRD)」(REVOLVE Group, Inc.傘下)は、モデル兼実業家として知られるロージー・ハンティントン=ホワイトリー(Rosie Huntington-Whiteley)をファッションディレクターに迎えると発表した。彼女はファッションキュレーションからマーチャンダイジング、シーズン戦略までを包括的に統括し、フォーワードのブランド世界観の刷新を担う。

強まるブランドからの信頼

同社はここ数年、ラグジュアリーブランドからの評価を著しく高めてきた。最新の取り扱いブランドには、フィービー ファイロ(Phoebe Philo)、ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)、SKIMS × ロベルト カヴァリ(SKIMS x Roberto Cavalli)をはじめ、国際的に影響力を持つブランドが並ぶ。

また、自社ブランドの強化、リアル店舗展開の加速、緻密なマーチャンダイジング、そして顧客体験の向上といった多角的な投資が、単なるEコマースを超えた「ブランドと顧客の深い結びつき」を生み出すサイクルを構築している。

ファッションディレクターとしての就任にあたり、ロージーは次のように語る。

「モダンでタイムレス、そして洗練された視点からFWRDのファッション観を定義するのが私の役割です。服を通したストーリーテリングの力を信じています。」

彼女の国際的な影響力と編集的視点は、フォーワードが目指す“コンテンツ × コマース × スタイル”の融合をさらに加速させると期待されている。

また現在、デジタルとリアルの両軸で戦略を展開するフォーワードは、従来のEコマースの枠を超え、ブランドと顧客の関係性そのものを再定義し続けている。今回のファッションディレクター就任は、同社が次なる成長ステージへと舵を切ったことを示す明確なシグナルだ。

ロイヤリティの高い顧客基盤、急伸するパーソナルショッピング事業、さらに強固になるブランドパートナーシップ。この三位一体の相乗効果により、フォーワードは“モダン・ラグジュアリーの中枢”としての存在感をいよいよ確かなものにしつつある。

なぜ今、フォーワードの動きが注目されるのか

ラグジュアリーEコマース市場は近年、大きな構造変化と逆風にさらされている。例えば、カナダ拠点の多ブランドEコマース「エッセンス(SSENSE)」は、2025年8月に債権者保護下で再編を余儀なくされた。背景には、高関税の導入や米国の輸入免税制度「デミニマス(de minimis)」の廃止、消費者の節約志向の強まりなどがある。

エッセンスだけでなく、かつて多ブランドEコマースの代表格とされた複数のプラットフォームが資金調達の鈍化、収益性の低下、ブランドの流通戦略見直しなどに直面し、業界全体に不透明感が広がっている。

こうした市場全体の逆風が強まるなかにあっても、フォーワードは堅実な成長軌道を維持しつつ、ブランド価値と顧客体験の両面を着実に強化している点で際立った存在だ。停滞や再編を余儀なくされる企業が増える中、フォーワードの戦略と成果は、次世代ラグジュアリービジネスのあるべき姿を先取りする“モデルケース”として注目に値する。

Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.