パット マクグラス ラブス(Pat McGrath Labs)、資本再構築の過程で資産売却を検討

Pat McGrath Labs

英国人メイクアップアーティスト、デイム・パット・マクグラス(Dame Pat McGrath)が2015年に立ち上げたコスメティクスブランド、「パット マクグラス ラブス(Pat McGrath Labs)」が、資産売却を含む再編プロセスに入っていることが明らかになった。

複数の業界関係者の情報および、米国の金融・資産アドバイザリー企業ヒルコ・グローバル(Hilco Global)が公開している資料によれば、同社は現在、事業再編および資本再構築(リキャピタライゼーション)を進める過程で、ブランド関連資産の見直しを行っている。対象となる資産には、商標やロゴを含む知的財産のほか、Pat McGrath Cosmetics, LLCおよびパトリシア・マクグラス(Patricia McGrath)が差し入れている担保資産が含まれるとされている。

ヒルコ・グローバルが管理する正式な売却プロセスでは、入札期限が2026年1月26日、翌27日にオークションが予定されている。売却は米国統一商事法典(UCC)第9条に基づく担保権者主導の公開オークションとして実施され、資産は「現状有姿(as-is / where-is)」で提供される。

同ブランドは、2015年に発売したゴールドのマルチユース顔料「Gold 001」で華々しいデビューを果たし、限定ドロップ型の販売手法と強烈なビジュアル表現によって、瞬く間にビューティ業界の注目を集めた。2018年には投資会社ユーロアゼオ・ブランズ(Eurazeo Brands)からの出資を受け、評価額10億ドル超のいわゆる「ビューティ・ユニコーン」として位置づけられた経緯がある。

一方で近年は、オペレーション上の課題、経営体制の変化、レイオフなどが相次ぎ、現在の評価額はピーク時を大きく下回る水準にあると業界では見られている。かつて出資していたユーロアゼオが、数年前に静かに持ち分を売却していたことも知られている。

同時に、こうした動きが注目を集める背景には、パット・マクグラス本人のキャリアの変化もある。2024年、彼女は「ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)」初のメイクアップライン「ラ・ボーテ(La Beauté)」のビューティ・ディレクターに就任し、同コレクションは2025年夏にローンチされた。

マクグラス ラブスは現在も、セフォラ(Sephora)やアルタ ビューティ(Ulta Beauty)など主要リテーラーで展開され、ソーシャルメディア上でも強い存在感を維持している。なお、ヒルコ・グローバルの資料では、同ブランドが今後も成長が見込まれるグローバル・ビューティ市場において、意味のあるポジションを確保し得ると位置づけられている。

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