エスティ ローダー(Estée Lauder)、ポートフォリオ再編で3ブランド売却を検討か

Estée Lauder

1月7日(現地時間)、米ビューティ大手「エスティ ローダー カンパニーズ(Estée Lauder Comapnies)」が、ブランドポートフォリオの見直しに着手していることが明らかになった。Business of Fashionの報道によると、同社は傘下ブランドである「トゥー フェイスド(Too Faced)」、「スマッシュボックス(Smashbox)」、「ドクタージャルト(Dr. Jart)」について、売却に向けた検討を進めているという。

関係者の情報では、これら3ブランドは個別ではなくパッケージとして市場に出されており、想定評価額は数十億円規模にのぼるとされている。実現すれば、エスティ ローダーにとっては近年で最も象徴的なポートフォリオ再編の一つとなる。

成長ブランドから「再構築フェーズ」へ

今回売却対象とされている3ブランドはいずれも、過去には高い成長率と強いブランド力を誇っていた。エスティ ローダーは2010年にスマッシュボックスを取得し、2016年にはトゥー フェイスドを約14.5億ドルで買収。 また、ドクタージャルトは2019年に買収し、同社のアジア発スキンケア強化の象徴的存在として位置付けられていた。

しかし近年は、消費者の価値観の変化、メイクアップ需要の減速、スキンケアやウェルネス分野への関心移行などを背景に、売上成長が鈍化。特に、ソーシャルメディア主導で急成長したブランドほど、トレンドの変化や競争激化の影響を受けやすく、持続的な成長モデルへの転換が課題となっていた。エスティ ローダーにとって、これらのブランドは「かつての成長エンジン」から「再投資が必要な資産」へと位置づけが変化したと見ることができる。

主力ブランドへの集中と資本の再配分

ブランド売却が実現した場合、同社は得られた資本を主力ブランドへの投資強化、研究開発、あるいは戦略的買収に振り向けることが可能となる。特に、中国市場における売上減速への対応や、新興ブランドとの競争激化に対する商品・マーケティング両面での強化は、喫緊の経営課題である。

一方で、売却プロセスは容易ではないとの見方も強い。現在の市場環境では、買収よりも事業売却を検討する企業が増えており、複数ブランドを同時に取得し、再成長に向けた投資と時間を割く意思のある買い手は限られるためだ。

ビューティ業界の次なるフェーズ

こうした動きは、ビューティ業界が量的拡大から質的成長へとフェーズを移しつつあることを示唆している。ブランド数を増やすことよりも、どのブランドに資源を集中させ、どの市場で勝つのか。その選別が、企業価値を左右する時代に入ったと言える。

同時に、エスティ ローダーの判断は、今後他のビューティ企業にも影響を与える可能性が高い。ブランドポートフォリオの再設計は、もはや例外的な施策ではなく、経営戦略の中核となりつつある。

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