オールバーズ(Allbirds)、シューズブランドからAIインフラ企業へ転換:5,000万ドル調達とブランド売却で再構築へ

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米シューズブランドの「オールバーズ(Allbirds)」が、AIコンピュートインフラへの事業転換を打ち出し、市場の注目を集めている。長年にわたり業績低迷が続いていた同社だが、この戦略変更を契機に株価が急騰。従来のフットウェア企業から、AIインフラ企業への変貌を図る動きが鮮明となった。

4月15日(現地時間)、オールバーズは、機関投資家との間で5,000万ドル規模の転換型資金調達ファシリティ契約を締結したと発表した。同社はこれを契機に、事業の軸足をAIコンピュートインフラへと移行し、中長期的にはGPU-as-a-Service(GPUaaS)およびAIネイティブなクラウドソリューションを提供する企業への転換を目指す方針である。

今回の資金調達は、すでに発表されているブランドおよびフットウェア資産の売却と並行して進められるものだ。売却先はアメリカン・エクスチェンジ・グループ(American Exchange Group)で、同社が今後オールバーズブランドの展開を担う見通しとなっている。これにより、ブランドとしてのオールバーズは継続しつつ、企業としては別軸での再出発を図る。

同社はまた、この戦略転換に伴い、社名を「NewBird AI」へ変更する可能性についても言及している。調達資金は主に高性能GPUの取得に充てられ、AI開発企業や研究機関に向けた専用コンピュート環境の提供に活用される計画である。長期的には、コンピュートとサービスを統合した「ネオクラウド」プラットフォームの構築を視野に入れている。

公式発表では、現在の市場環境について、AI開発の加速により高性能コンピューティングへの需要が急増している一方で、供給側は深刻な制約に直面していると指摘。その結果として、企業や研究機関が必要な計算リソースを確保できない状況が広がっていると説明している。

「AIの開発と普及の進展により、専門性の高い高性能コンピューティングに対する前例のない構造的需要が生まれていますが、市場はその需要に十分応えきれていません。」

同社はこうした需給ギャップを埋める存在として、高性能かつ低遅延のAIコンピュートリソースを提供することで、新たな成長機会を創出していく構えだ。

株主構造と今後のスケジュール

今回の資金調達および資産売却は、いずれも株主承認を前提として進められる。臨時株主総会は2026年5月18日に開催予定であり、承認が得られた場合には、同年第3四半期に特別配当の実施も見込まれている。

これにより、既存株主は配当を受け取ると同時に、AIインフラ事業へ転換する新会社への投資機会を保持する形となる。一方で、ブランド事業はアメリカン・エクスチェンジ・グループのもとで継続され、従来の顧客基盤も維持される見通しである。

市場の反応と背景にある業績低迷

今回の発表を受け、株式市場は強く反応した。発表当日、株価は一時600%以上上昇し、過去最大の上昇率を記録。AI関連銘柄への資金流入が続く中、この大胆なピボットは投資家の関心を集めた。

もっとも、この転換の背景には、同社の厳しい業績推移がある。売上高は近年縮小傾向にあり、上場以降、年間ベースでの黒字化は達成されていない。また、2021年のIPO以降、株価は大幅に下落しており、今回の急騰を経ても過去水準には届いていない。

こうした状況の中で打ち出された「AI企業への転身」は、単なる事業多角化ではなく、企業の存在意義そのものを再定義する戦略である。フットウェアブランドとして築いてきた資産を切り離し、急成長するAIインフラ市場へと舵を切るこの決断が、持続的な成長へと結びつくかが問われている。

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