LVMH、主要メゾンのトップ人事を発表 | ルイ ヴィトン、ロロ ピアーナ、ディオールの新体制

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3月12日(現地時間)LVMH モエ ヘネシー ルイ ヴィトン(LVMH)が、ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)、ロロ ピアーナ(Loro Piana)、クリスチャン ディオール クチュール(Christian Dior Couture)の経営陣における重要な人事異動を発表した。今回の人事は、同グループが内部昇進によってリーダーを育成する戦略を加速させていることを示すものだ。

ルイ ヴィトン、ロロ ピアーナ、ディオールでの新体制

現在ロロ ピアーナのCEOを務めるダミアン・ベルトラン(Damien Bertrand)は、新たにルイ ヴィトンの副CEOに就任する。ベルトランの後任として、LVMHウォッチ部門(タグ・ホイヤー、ウブロ、ゼニスを統括)のCEOであるフレデリック・アルノー(Frédéric Arnault)がロロ・ピアーナのCEOに就く。さらに、現在フェンディ(Fendi)を率いるピエール=エマニュエル・アンジェログルー(Pierre-Emmanuel Angeloglou)は、クリスチャン ディオール クチュールの副CEOとなる。なお、フェンディの後任CEOは現時点で発表されていないが、近日中に明らかになるようだ。

フレデリック アルノーは2025年3月26日からロロ ピアーナに加わり、ダミアン・ベルトランとの引き継ぎを経て、6月10日に正式にCEOに就任する。一方、ベルトランは同日よりルイ ヴィトンへと移り、副CEOとしてブランド戦略を推進する立場となる。アンジェログルーは4月15日にディオールへと移り、デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)の直属として商業戦略、財務、法務を担当する。

LVMHの人材戦略と成長への布石

LVMHグループは、優れた経営者を内部から輩出することに重点を置いている。今回の人事もその方針の一環であり、主要ブランドに経験豊富なリーダーを配置することで、競争の激しいラグジュアリー市場においてさらなる成長を目指している。

LVMHの会長兼CEOであるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)は、今回の人事について、声明で次のように述べている。

「メゾンの魅力は、献身的で情熱的なリーダーによって支えられています。ダミアン、フレデリック、ピエール=エマニュエルは、卓越したリーダーシップと起業家的なビジョン、そして最高の品質を追求する姿勢を兼ね備えています。今回の人事は、グループ内での優秀な人材育成戦略の一環です。」

ルイ ヴィトンとディオールの新たなリーダーシップ

ダミアン・ベルトランは、かつてクリスチャン ディオール クチュールのマネージング・ディレクターとして、ウィメンズ、メンズ、ベビー部門を統括していた経歴を持つ。今回のルイ ヴィトンへの移籍により、彼はルイ ヴィトンの会長兼CEOであるピエトロ・ベッカリ(Pietro Beccari)のもとでブランド戦略を推進する立場となる。ベッカリは2023年にディオールのCEOからルイ ヴィトンのトップへと昇格しており、再びベルトランとタッグを組むことになる。

また、ピエール=エマニュエル・アンジェログルーもルイ ヴィトン出身であり、デルフィーヌ・アルノーとは過去に協力していた経歴がある。ディオールでは、彼が商業戦略、財務、法務を担当することで、新たな成長を牽引すると期待されている。

ロロ ピアーナの成長を担うフレデリック・アルノー

LVMHの中でも比較的控えめな存在であるロロ ピアーナは、クリエイティブ・ディレクターを設けず、ファッションショーや派手なコラボレーションを行わないが、近年急成長を遂げている。市場関係者によると、ロロ・ピアーナの年間売上は約25億ユーロに達しており、LVMHのファッション&レザーグッズ部門において、ルイ ヴィトン、ディオールに次ぐ第3の柱となっている。

LVMHは、フレデリック・アルノーのリーダーシップがブランドのさらなる発展につながると期待を寄せており、「彼の卓越した品質への情熱とリーダーシップを活かし、ロロ ピアーナをさらなる高みへと導くと同時に、メゾンの伝統的な職人技を守り続けます」とコメント。

こうした今回のLVMHのトップ人事は、ラグジュアリー市場の変動に対応し、ブランドの競争力を強化するための戦略的な動きといえる。特に、2024年の市場低迷を受けた中での組織再編であり、今後の成長に向けた布石となることは間違いない。

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