4月10日(現地時間)、プラダグループ(Prada Group)は、米カプリ・ホールディングス(Capri Holdings)よりイタリアの高級ブランド、ヴェルサーチェ(Versace)を買収することで最終合意に達したと正式に発表した。本件は先月より業界内で噂されていたが、このたび正式な契約締結により現実のものとなった。買収金額は、企業価値ベースで12億5,000万ユーロ(約13億7,500万ドル)とされており、最終的な対価はクロージング時点での運転資本および純金融ポジションに基づき調整される見通しである。
ヴェルサーチェは1978年、ミラノにて創設され、イタリアンラグジュアリーの象徴として世界的な評価を得てきた。強いブランド認知と独自の美学を背景に、現代社会の空気を的確にとらえる感性を持つブランドとして知られる。
プラダグループはヴェルサーチェの創造的なDNAと文化的真正性を尊重しながら、同グループが有する製造能力、小売運営、業務遂行におけるノウハウを活用し、ブランドのさらなる成長を支援していく構えだ。
プラダグループ会長兼取締役であるパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)は次のようにコメント。
「Versaceをプラダグループに迎えられることを嬉しく思います。創造性、職人技、そして伝統への深いこだわりという共通の価値観のもと、Versaceの大胆で時代を超えた美学を称えつつ再解釈し、新たな章を共に築いていきたいと考えています。私たちの組織は、グループの価値観を活かしながら、自信と集中力をもってVersaceの歴史に新たな1ページを刻む準備が整っています。」
また、グループ最高経営責任者(CEO)であるアンドレア・グエッラ(Andrea Guerra)は、今回の買収がグループの成長戦略における重要な一歩であることを次のように強調した。
「Versaceの買収は、当社グループの進化の旅における新たなステップであり、異なる視点と補完性をもたらします。グループのインフラは強固であり、ブランドごとの体制を強化し、日々のプロセスも確立されています。Versaceには巨大な可能性があります。この旅は長く、忍耐と規律ある実行が求められるでしょう。ブランドの進化には時間と継続的な注力が不可欠です。この素晴らしいブランドの遺産を守り、発展させてくれたCapri Holdingsに心より感謝します。業界の不確実性がある中でも、私たちは長期的な戦略ビジョンを持って、自信をもって未来を見据えています。」
今回の買収は、10億ユーロのタームローンおよび5億ユーロのブリッジローンという計15億ユーロの新規借入により資金調達される。取引は両社の取締役会により承認済みであり、2025年後半にクロージングされる見込みである。現在は必要な規制当局の承認など、通常のクロージング条件を進行中だ。
また、本取引におけるプラダグループの財務アドバイザーは、シティグループ・グローバル・マーケッツ・ヨーロッパ(Citigroup Global Markets Europe AG)とゴールドマン・サックス・バンク・ヨーロッパSE・イタリア支店(Goldman Sachs Bank Europe SE, Succursale Italia)が務め、法務アドバイザーはスキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロムLLP(Skadden, Arps, Slate, Meagher & Flom LLP)が担当。資金調達については、ビーエヌピー・パリバ(BNP Paribas)およびインテーザ・サンパオロ(Intesa Sanpaolo)がアンダーライティングバンクを務めている。
今回の買収により、プラダグループはミュウミュウ(Miu Miu)やチャーチ(Church’s)、カシュー(Car Shoe)に続き、さらに強力なブランドポートフォリオを形成することになる。
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